第6回生命医薬情報学連合大会(IIBMP2017)

大会ホームページ:
http://iibmp.info/2017/

日程:
2017年9月27日(水)~9月29日(金)

会場:
北海道大学情報科学研究科棟

主催:
日本バイオインフォマティクス学会(JSBi)
日本オミックス医療学会
情報計算科学生物学会(CBI学会)

開催趣旨

 2017年も日本バイオインフォマティクス学会、情報計算化学生物学会、日本オミックス医療学会の共催にて、第6回生命医薬情報学連合大会(IIBMP2017)を開催します。

 本大会は生命情報科学研究および生命科学・医学、薬学研究の発展のため、日本バイオインフォマティクス学会、情報計算化学生物学会、日本オミックス医療学会の3つの学会により共同開催されています。2012-2013年は船堀(東京)、2014年は東北大学、2015年は京都大学宇治キャンパス、2016年は東京国際交流館(お台場)にて開催されました。お台場の大会では、情報科学、生命科学、医学、薬学を含むさまざまな分野の研究者500名超が参加し、招待講演、提案型ワークショップ(BoF)、一般口頭発表、ポスター発表、企業展示、企業セッションを通じ、活発な議論が行われました。個人情報保護法の改正に際したゲノム情報利用に関した提言も引き続き行われ、アカデミアから産業界まで広い分野の関心を包含した大会となりました。

 2017年は札幌に場所を移し、3学会共催の連合大会として、北海道大学にて開催いたします。実行委員は、北海道大学の大学院情報科学研究科、人獣共通感染症リサーチセンター、遺伝子病制御研究所、北海道情報大学、東北大学メディカル・メガバンク、東海大学医学部の教員・研究者を中心としたメンバー構成とし、これまで以上に、医学・生物学・薬学などの生命科学と情報科学との融合に重心を置きます。

 生命医薬関連分野の「ビッグデータ」は加速度的に増え、バイオインフォマティクス関連分野の研究と技術開発はますます重要性が増してきています。次世代シーケンシング技術やアノテーション解析などはバイオインフォマティクスに依存しており、データの増加と並列に知見や方法も進化し続けているため、同一データでもデータ処理した時期によって意味が変わる場合も珍しくありません。と同時に、理論や技術とは一線を画す「個人情報」などの社会的な課題も顕在化してきました。個人情報は適切な法による保護が必要ですが、過剰な法整備は玄関と窓のない家を作るようなものです。鎖国していればそれでもいいかもしれませんが、その間に世界はどんどん未来へ進んでゆきます。「個人情報」の適切な扱いにも情報処理技術が必須です。

 近年、深層学習と呼ばれる人工知能の発展型の成果が、自動運転や囲碁における成功により、脚光を浴びています。深層学習は、超多層の仮想神経素子(荷重入力型論理素子)にデータ化した既存知識を入力することによって内部荷重を適切に調節し、未知の入力に対しても適切な解を与え得る判別器を構成する手法です。この方法がうまくゆく理由の厳密な説明はなされていませんが、そのような例が多数報告されており、これらの報告は深層学習が適用された多くの現実的問題の解決に合っていることを意味しています。生命医薬学情報における適用例はまだ多くはありませんが、利用可能データ数に対して探索空間のパラメータ数が圧倒的に多いこの分野に、実は向いているという指摘もあり、今後の発展が期待されます。

 個人ゲノム解析コストも当初目標の1000ドルを切り、10年以内には100ドルに迫ると言われています。健康診断程度の費用で早期に罹患可能性を知ることができるようになり、副作用を最小限に効果的な投薬ができる時代も目前です。いまのところ次世代シーケンサから生み出される膨大なデータ処理には高速な情報処理が必要ですが、10年の間には十分なデータ処理速度の向上が見込めることでしょう。これからの課題はむしろ、明らかにされたゲノム情報の適切な解釈のやり方に移ってゆくはずです。ゲノム状態の検査情報は明らかになっても、その意味する疾患可能性や回避すべき生活習慣・嗜好にたどり着くにはもう一段のステップが必要です。どのようなゲノム状態と生活習慣や嗜好が結びつくと疾患につながるのかについては、ゲノム解析データと、医療情報を組合わせて初めて明らかにできることであり、その意味ではやっとロゼッタストーンを手に入れた段階ともいえます。ゲノム解析結果、生活習慣、嗜好の組合わせは膨大なビッグデータです。解明は必ずしも即時と言うわけには行きません。しかし、個人毎に最適な投薬や療法が確立すれば、副作用等に悩まされることもなく、医療費も劇的に低下させることが期待できます。そして複雑怪奇な暗号を解読するためのお膳立ては揃いつつあります。

 モデル生物のゲノム配列のデータベース、遺伝子アノテーション、そして関連文献の膨大な蓄積、生命現象を理解するために必要な用語と概念の体系であるオントロジー、そしてそれらの統合化データベースなど、ヒトの健康へのフィードバックのみならず、各種資源あるいは環境構成要素としての生物への理解も深めてゆくための材料が調ってきています。こうした蓄積を進化学的視点から見ると、生命の共通性、ヒトやその他の生き物の成立過程、そしてその進化要因をも浮き彫りにすることが可能になってゆくことでしょう。また、各学問分野の融合によって初めて理解出来ることも多いはずです。

 本大会は、遺伝情報やそれによって構成される生命と、そこからもたらされる様々な情報と知見を、生物学、医学、薬学、進化学、情報科学、個人情報など、様々な材料と視点から扱った研究の発表と分野の垣根を越えた議論の場となることを期待しています。関係者一同、尽力してまいりますので、この分野に関心をもつ多くの方々にぜひご参加ならびにご支援をお願いできれば幸いです。