イベント案内:研究会 - アグリバイオインフォマティクス研究会

第2回アグリバイオインフォマティクス研究会

-バイオインフォマティクスの基本技術でオミックス情報解析を自在に行える人材を育成する-

【日程】 2010年9月17日(金) 13:30- 

【場所】 琉球大学農学部209講義室

【趣旨】沖縄は次世代シーケンサー設置数において全国有数の規模を誇り、得られる大量の情報を自在に解析できる人材の育成も進められている。沖縄ならではのアグリバイオ研究の推進や産業の振興にバイオインフォマティクスがどこまで貢献できるか、また職業としてのバイオインフォマティクスの魅力について議論する場を目指し、二部構成で行う。第1部では、アグリバイオ研究を推進している(琉球大学の)講師二名と、バイオインフォマティクス研究を推進している東京大学の講師二名が、それぞれの専門の立場から最新の研究紹介を行う。第2部では、講師が作成したwebページを利用した次世代シーケンサーデータ解析の実演を中心とした講義を行う。マイクロアレイ解析と比較しながら、マイクロアレイ解析に用いられている方法の多くがそのまま利用可能であることを述べるとともに、インターネット環境さえ整っていればどこでも仕事ができるバイオインフォマティクスの職業としての魅力についても述べる。

 

【プログラム】

1

13:30-13:35  はじめに
13:35-14:15 「植物-微生物間の相互作用に関わるタンパク質の構造と機能」
平良東紀(琉球大学・農学部・亜熱帯生物資源科学科)
14:15-14:55 「マングローブ植物の耐塩性の分子的基盤」
齋藤星耕(琉球大学・熱帯生物圏研究センター)
14:55-15:05  休憩
15:05-15:45 「配列解析から発現量解析、エピゲノムまで」
有田正規(東京大学・理学部・生物情報科学科)
15:45-16:15 「トランスクリプトーム解析におけるバイオインフォマティクス要素技術~私の相場観~」
門田幸二(東京大学・大学院農学生命科学研究科)

2

16:30-17:30 「トランスクリプトーム解析の一手段としての次世代シーケンサーデータ解析~実演を中心に~」
門田幸二(東京大学・大学院農学生命科学研究科)

 

【要旨】

平良東紀(琉球大学)「植物-微生物間の相互作用に関わるタンパク質の構造と機能」
生物は物理化学的環境に適応する能力を持っていると同時に,他の生物に対して攻撃,防御,共生するなど生物学的環境に適応する能力を持っている。アグリバイオではこの2つの能力を引き出すことによって,農産物の生産性の向上目指している。後者においては,生物間相互作用に関わる分子レベルでの理解が重要となる。本講演では,植物の微生物に対する生体防御および共生機構の一部を担っているキチン分解酵素とLysMタンパク質の構造と機能について,我々の得ている知見をもとに紹介する。

齋藤星耕(琉球大学)「マングローブ植物の耐塩性の分子的基盤」
植物は、程度の差はあるものの、広く耐塩性を実現する機構を備えている。細胞の浸透圧の調節や、Na+イオンなどの濃度調節、抗酸化酵素の産生などがその機構として知られている。今回は、これらの仕組みについて概観した後、塩生植物であるマングローブ植物における耐塩性研究の近年の進展を紹介する。特に、我々のグループの研究により明らかになったテルペン類の産生による耐塩性の獲得について詳しく述べる。次に、マングローブ植物に複数存在する耐塩性機構の統合的な理解のために、その転写ネットワークの解明にむけた研究計画について紹介し、会場から広くご意見を募りたい。

有田正規(東京大学)「配列解析から発現量解析、エピゲノムまで」
遺伝子配列の解析は、今も昔もバイオインフォマティクスの中心テーマである。一昔前はゲノムからの遺伝子領域・構造予測が大きな研究テーマであったが、cDNAライブラリの充実とともに解析対象はトランスクリプトームに移ってきた。そして現在、ATGCの配列だけではわからないエピジェネティックな制御が研究の主流になりつつある。これらの解析に使われる手法や概念を歴史にそって概観し、今後の展望を示したい。

門田幸二(東京大学)「トランスクリプトーム解析におけるバイオインフォマティクス要素技術~私の相場観~」

トランスクリプトーム解析を行うためのアプローチは1. (特に農学分野でよく用いられてきたDNA fingerprintingなどの)電気泳動に基づく方法、2. マイクロアレイ、3.(EST、SAGE、 次世代シーケンサーなどから得られる)sequencingに基づく方法に大別できる。この三つは、波形、遺伝子発現行列、塩基配列と見かけ上大きな違いがあるが、データ解析に用いる要素技術には大きな違いはない。本講演では、a)マイクロアレイ解析に頻用される「クラスタリング」の電気泳動波形解析(特にピークマッチング)への適用とb)配列解析(Sequence logo)で用いられる「エントロピー」のマイクロアレイ解析(特に組織特異的発現パターン検出)への適用という二つの具体例を中心に述べる。

門田幸二(東京大学)「トランスクリプトーム解析の一手段としての次世代シーケンサーデータ解析~実演を中心に~」
沖縄は、日本有数の次世代シーケンサー集積地であり、平成22年度よりバイオインフォマティクス人材育成活動が活発に進められている。第二部では、今後大量に得られる次世代シーケンサー由来配列データを”地産地消”できるようにすべく、フリーソフトR用いた実演を中心とした講義を行う。マイクロアレイ解析技術が多くの局面で利用可能なことや、次世代シーケンサー由来データ特有の考慮すべき点などについても述べる予定である。
参考URL:http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/r.html http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/r_seq.html