第5回創薬インフォマティクス研究会を日本薬学会・構造活性相関部会との共催で
「酵素阻害剤創製のためのBio-Chemo-Informatics」をトピックスとして開催した。
酵素阻害剤の創製は古くて新しい課題であり、タンパク質立体構造やパスウエイなどを
はじめとした各種情報が氾濫する中、これら情報を有効活用することで益々の効率化が
求められている。そこで今回は酵素阻害剤創製の基盤となるBioinformaticsおよびChemoinformatics
(もしくはStructure Based Drug Design)に関する第一線の研究者の方々にご講演をお願いした。
先端的な研究成果に加えて、Informaticsで最も注意しなければならないデータの背景や
その質に関する情報も提供頂いた。平山先生のご発表では、普段あまり聞けない蛋白質構造情報を
扱う上での問題点を整理してご紹介頂いた。これによりドッキング研究を行う際の極めて地道な
具体的対応策を知ることが出来た。井上先生のご発表では、新規な結晶化技術による数々の医薬上
重要な分子の構造決定が行われていることを伺うことができ、かつインシリコ技術を組み合わせて効果的に
ドラッグ設計がされている具体例を紹介頂いた。有田先生からは、メタボロミクスに関する世間一般での
期待感が実際とは異なって少し拙速すぎる感があるとのこと、大変に分かりやすくご解説頂いた。
ショックを受けるとともに、Informaticsを行う上で扱うデータがどういう出され方をしているのか、
しっかりと把握しておく必要性を再認識することができた。長野先生のご発表では、
酵素の再分類という世界初の試みを極めて地道に行われていることをご紹介いただいた。
生物学と化学の融合がまさにEzCatDBにて実現されていて、これまでは出来なかった切り口での
創薬研究が行える、基盤整備がなされていると感じた。
研究会を通して、創薬を志向する際、バイオとケモの区別なく、また実験とインシリコの双方を
組み合わせて効率的な創薬を実現することが重要であることを再確認できた。演者の方々に加え、
座長・世話役を引き受けて頂いた方々もまた、日頃からバイオ、ケモに跨り、また実験とインシリコを
常に効果的に組み合わせて研究を推進しておられる方々にお願いをして開催したため、
充実した議論を展開して頂いた。