第8回システムバイオロジー研究会開催報告


9月2日 午後1:00−5:30、理化学研究所横浜研究所ゲノム総合研究センターにおいて、第8回システムバイオロジー研究会を開催した。2件の招待講演と5件の公募による一般講演を行った。60人(会員30人,非会員30人)の参加者があり、盛会であった。招待講演では、伊藤隆司先生(東京大学大学院新領域創成科学研究科)に、酵母のプロテオーム研究から、アミノ酸合成制御に関わる精密なネットワークのシミュレーションのお話をいただいた。生命分子ネットワークのシミュレーションを行うためには、定量的データが不足しており、それらの効率的な獲得が重要である。議論を通して、ポストゲノムデータは、細胞の全体的な挙動を理解することができるが、個別のシステムの精密なネットワークを理解するためには、新しい方法論、モデル構築に必要なデータの効率的取得が必要であろう。また、ポストゲノムデータと分子レベルでのシミュレーションとの間には、まだ大きな隔たりがあり、両者を関係づけることが求められるであろう。下平英寿先生(東京工業大学大学院情報理工学研究科)には、階層的クラスタリングやネットワーク推定におけるマルチスケールブートストラップ解析方法のポストゲノムデータ適用への有用性の講演をいただいた。データのランダムネスが解析結果に与える影響を評価するために、データのリサンプリングによって多数の複数データを生成してバラツキを調べる。樹形図のクラスタやネットワークの枝が複数データに何回出現したか頻度を数えて信頼度を計算する。次に、くりこみ理論と類似のアイデアによって、問題をスケール変換したときの信頼度の変化率から高精度の信頼度を計算する方法を開発した。本方法がバイオインフォマティクスにおけるデータのクラスタリングに有用であることを議論した。一般講演においては、トランスクリプトーム解析、プロテオーム解析のほかに、タンパク質の構造解析について、情報科学からのアプローチの最新の動向を講演いただいた。


倉田 博之 (研究会副査)