第9回システムバイオロジー研究会開催報告


平成18年1月18日,福岡市天神の繁華街ある九州工業大学のサテライトキャンパス Kyutech プラザで第9回日本バイオインフォマティクス学会システムバイオロジー研 究会を化学工学会バイオ部会生物情報分野専門分科会と共催した.生命システムのモ デリングについて,巌佐庸 (九州大学) ,杉浦清了 (東京大学)先生から講演をいた だき,6名の研究者の方に関連の研究テーマを発表していただいた.企業や大学から 合計20名の参加者を得た.巌佐先生は,癌化のメカニズムを単純な数理モデルで的確 に説明することができることを示された.杉浦先生からは,分子レベルから,心臓の 動的システムまでをシームレスに結びつける数理モデルを発表いただいた.分子レベ ルから,心臓という複雑な器官がボトムアップできることが示された.現在のシステ ムバイオロジーは,分子レベル,特に遺伝情報という生命の基本的要素から一貫した 知識体系を構築することを目指している.数理的枠組みの中で生命現象を記述し,そ のメカニズムを理解するために,システム工学,情報科学,物理学などを含む多様な 学問との融合が必要である.しかし,分子や遺伝子レベルからボトムアップして,細 胞の高次機能(心臓の拍動,癌化)を解明するまでの道のりは平坦ではない.分子ネッ トワークを高次機能と結びつける新しい数理的方法論が求められる.生命現象の数学 モデルは,電気回路理論,代謝・遺伝子制御ネットワーク系では分子動力学理論,運 動系では力学,材料力学というように,さまざまな背景理論に基づいて構築される. 今回は,分子,細胞,器官,個体の幅広い階層において生命現象をうみだすメカニズ ムを,さまざまな背景理論をもつ数理モデルを用いてどのように理解するのかについ て議論した.


倉田 博之 (研究会副査)