第5回 システムバイオロジー研究会 開催報告
平成16年11月8日、第5回システムバイオロジー研究会を
東京大学医科学研究所一号館講堂にて開催した。
代謝のシステムバイオロジーに関する招待講演と一般講演を行い、
企業や大学の研究者を含めて50名程度の参加を頂いた。
招待講演としては、大阪大学大学院の
清水浩先生に「バイオインフォマティクスデータを統合する代謝情報工学」、協和発
酵工業株式会社東京研究所の森英郎先生に「次世代代謝工学プラットフォーム:大腸
菌ミニゲノムファクトリー」として話題を提供していただいた。
清水は、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームのレベルで
酵母のストレス応答下における代謝反応の変化を網羅的に解析し、
これらの各階層のデータを統合する方法について議論した。
現状では、統合のための確立された方法論はなく、バイオイン
フォマティクスによるアプローチが可能な野心的な分野であることが感じられた。
森は、大腸菌のゲノムを大幅に削除することによって、
フィードバックやパスウエイの冗長性をなくし、
システムのロバストネスが消失した株の作成を精力的に行っている。
ロバストネスがなくなることによって、遺伝子組換え効果の予測が容易になるので
(組換え遺伝子の効果が抑制されることなく、直接的に表れると期待できるので)、
遺伝子組換え株による有用物質生産が大幅に増大することが期待される。どのような
遺伝子を削除するのかについては、バイオインフォマティクス技術を用いて、比較ゲ
ノム解析を行った。
また、網羅的な未知遺伝子機能の解析方法の開発を行った。世界的にも競争の激
しい分野であり、日本において大きな成果がでることが期待される。
一般講演では主として、代謝に関わる話題等を提供していただいた。
詳細はプログラムの要旨を参照頂きたい。今回は、招待/一般講演の他に、
コマーシャルプレゼンテーションとして企業による関連製品の紹介機会を設ける等の
新たな試みも行なった。大学や研究所だけにとどまらず、
企業をも含めた交流の場としても、本研究会は有用であったと考える。
システムバイオロジー研究会
副査 倉田博之(九州工業大学)