生命分子ネットワークは複雑で、進化の過程でアドホックに創られてきたと考えられるので、設計原理と呼べるようなものはないと考える研究者は多い。一方、生命分子ネットワークのトポロジカルな性質をグラフ理論を用いて、システム科学的にアプローチしたり、フィードバック機構を同定して、制御工学の観点から解析する例(理論モデルや数値シミュレーション)が近年急速に増えている。代謝ネットワークは、スケールフリーであり、階層構造をもち、あるいは、スモールワールドであることが示唆されている。インターネットや電力グリッドのような人工物のネットワークと類似している部分も多い。遺伝子制御ネットワークは、多数のフィードバックループから構成されているが、それらのフィードバック構造が人工物の制御システムと類似しているという指摘がされている。ネットワーク内で不可避的に生じるノイズに対しては、フィルタリングによるノイズの除去だけでなく、確率共鳴等による信号の増幅現象が示唆されている。生命システムは、人工物システムと類似点が多く、システム科学や、制御工学が大きな役割を果たすであろう。実験的アプローチとして、複数遺伝子からなる人工遺伝子回路を細胞に導入して、コンピュータシミュレーションにより、その動的挙動を解析し、制御理論に基づいて、システムを特徴づける例が報告されている。
第1回目の研究会では、生命分子ネットワークの設計原理という大きなテーマを掲げて、それが、あるのかないのかを含めて、生命システムを文字通りシステムとして、理解するための科学について議論する。設計原理の解明に迫るアプローチとして、実験、理論、シミュレーションの役割について考えたい。キーワードは、システム、グラフ、フィードバック、制御、進化、人工物、理論、コピュータ、人工遺伝子回路である。
第1回目は、招待講演と一般講演を行った後、パネルディスカッションを企画いたしたいと思います。話題提供してくださる研究者を一般公募させていただきます。
一般講演の申し込み
400-800字程度の講演要旨を倉田(kurata@bse.kyutech.ac.jp)へお送りください。
人数に限りがありますので、多数の場合はこちらの方で、選択させていただくこともあるかと思います。
| 場 所 | 東京大学医科学研究所 一号館講堂 |
| 日 時 | 10月22日(水) 午後1:00 |
| 問い合わせ |
システムバイオロジー研究会 副査 倉田博之 |