学会活動

日本バイオインフォマティクス学会九州地域部会セミナー

2013.02.15


日時:2013年02月15日(金) 10時00分 から 12時00分 まで
場所:理学部2号館計算機実習室(山口市吉田キャンパス)

 http://www.sci.yamaguchi-u.ac.jp/web-sci/access_bill.html

世話人:鈴木治夫(山口大学大学院理工学研究科)
連絡先:haruo@yamaguchi-u.ac.jp
参加方法:無料

(セミナー1) 10時00分 から 11時00分 まで
演者:河野暢明 氏(慶應義塾大学)
演題:パスウェイブラウザPathway Projectorを用いたマルチオミクス解析
概要:様々な階層に大分されている膨大な細胞内物質の相互作用情報を効率的に解析
する上で注目されるアプローチの一つに可視化があり、分子生物学で広く用いられて
いる可視化データに代謝パスウェイマップが挙げられる。遺伝子、代謝物質、そして
酵素など様々なレイヤーの情報が集約され、可視化されたパスウェイマップは生体内
反応を直感的に理解する上で必要不可欠なコンテキストである。しかしながら、本来
連続した経路であるはずのパスウェイも多くのデータベースでは個別のマップに切り
分けられてしまっているため、階層構造をなした情報を一元的に捉える事は困難であ
る。そこで我々はKyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)のパスウェイ
マップ情報を元に、新たな統合パスウェイマップを独自に再構築し、マルチオミクス
データ解析のためのパスウェイブラウザ「Pathway Projector」の開発を行った。
Pathway Projectorの特徴は主に代謝経路が連続して表現されている統合パスウェイ
マップ、Google Maps APIを採用した操作性の高いユーザインタフェース、マルチオ
ミクスデータのマッピング、そして各ノードの情報に自由にアクセスできる様々な
キーワド検索に対応したデータベースのゲートウェイシステムが挙げられる。本講演
ではこのPathway Projectorの紹介及び解析例などについて説明する。

(セミナー2) 11時00分 から 12時00分 まで
演者:大下和希 氏(慶應義塾大学)
演題:G-LinksおよびGenieを用いた生物学情報の収集
概要:生命システムはゲノム・トランスクリプトーム・プロテオームなどの多レイ
ヤーから構成される非常に複雑な系であり、それをより深く理解するためには、これ
らの多領域生物情報を組み合わせてより複雑な解析を行う必要がある。これらの生物
学情報は様々なデータベースに分散して存在するため、このような高度な解析を行う
ため研究者は多くのデータベースを統合・取得し、研究に必要なデータセットだけを
抽出するという非常に労力のかかる作業が必要となる。しかし近年のデータベースの
数およびデータ量の爆発的増加などからこの解析データ準備は非常に労力のかかる作
業となっており、バイオインフォマティクス研究作業のほとんが占められているとい
う現状が存在する。そこで我々は生物学研究のバーチャルアシスタントであるGenie
と生物学データ横断取得サービスであるG-Linksを開発した。Genieは、iPhoneの音声
アシスタントであるApple社のSiriのようなインタフェースを持ち、自然言語を用い
たコミュニケーションを行うだけでユーザが知りたいゲノムや遺伝子に関する生物学
情報を簡単に取得することができる。例えば"Give me human proteins that related
to cancer"とGenieに問いかけるとH.sapiensのがん関連遺伝子の総数と、その遺伝子
群に関するGO slimを用いた機能分類の円グラフを見せてくれ、"Tell me about
BRCA1"と問いかけるとBRCA1遺伝子について自然言語での説明をしてくれる。G-Links
はGenieのバックエンドで働く高速な生物情報取得サービスである。遺伝子IDや塩基/
アミノ酸配列を含んだ簡単なURLにアクセスするだけで、その遺伝子に関連するタン
パク質・相互作用・パスウェイ・病理情報・文献情報など多領域に渡る生物学情報を
130以上のデータベースから高速に収集・取得することができる。本公演では、Genie
やG-Linksの紹介および実際の解析例などについて説明を行う。
Genie : http://ws.g-language.org/genie
G-Links : http://link.g-language.org/

 

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