学会活動

第6回生命医薬情報学連合大会(IIBMP2017)のご案内

2017.09.27

本大会の演題登録締め切りを延長いたします。

 口演・ポスター: 締切 7月28日(金)18:00
             8月4日(金)

皆様の積極的なご応募をお待ちしております。

なお、これ以降の延長はありません。


託児所利用ご希望者は8月31日頃までに iibmp2017@jsbi.org 宛にご連絡ください。

(参加未定でも利用の可能性があれば早めにお知らせください)

大会長 遠藤俊徳


第6回生命医薬情報学連合大会(IIBMP2017)概要

開催日: 2017年9月27日(水)~29日(金)

懇親会: 28日(木)JRタワー36階 スカイバンケットたいよう
※9月26日午後にバイオ情報学研究会、10月1日に一般公開講座を開催します。
場所 : 北海道大学 情報科学研究科棟・鈴木章ホール
      〒060-0814 北海道札幌市北区北14条西9丁目
URL : https://www.jsbi.org/iibmp2017/
主催 : 日本バイオインフォマティクス学会(JSBi)
      日本オミックス医療学会
      情報計算化学生物学会(CBI学会)
共催 : 北海道大学 Global Station for Big Data and Cybersecurity
連携開催: 日本情報処理学会バイオ情報学研究会(26日)

 

開催趣旨

進化する生命医薬情報学 ~ ビッグデータの真の理解に向けて

 生命医薬分野の研究の進歩はめざましいものがあり、情報学はその一部に組み込まれているのではないかというほどに浸透しました。生命活動が生物の形態形成、生命維持、生殖などあらゆる場面において、広い意味での遺伝情報に基づいて行われていることから必然とも言うべきですが、次世代シーケンシング技術をはじめとする、様々な生命現象を測定する技術の飛躍的発展や、膨大な可能性や組合せの網羅的探索への要求の増大など、様々な場面においてビッグデータの処理が求められるようになり、またハードウェアの飛躍的な発展も要求される水準に届くようになったという意味合いが大きいと思われます。

 生物の持つ遺伝情報は長い進化の歴史の産物として形成されたものであると同時に、今まさにダイナミックに進化を続けています。そのスナップショットというべき、ヒトやそのほかの現生生物は非常に複雑で多様です。すべての多細胞生物は世代ごとに単細胞の時期を経て発生プログラムを展開してゆきます。また、生命維持の各段階においても、同様にプログラムが実行されてゆきます。しかしそのプログラム実行の仕組みはなじみの深いノイマン型のコンピュータの挙動に似て非なるものであり、それは生体を構成する分子とそのネットワークそのものが、高度に自己組織化した集合体でであることが大きな要因となっています。つまり、DNAがもつ遺伝情報のみならず、それを支持する分子や構造さえもその挙動を変化させ得る実体として振る舞っており、多くの事実が明らかになってきているにも関わらず、疾患を含む様々な生命現象についての、まだ完全な理解には至っていません。高度に進化したこの遺伝情報は、「サルがキーボードをたたいてシェークスピアを著述するほど稀な現象」という表現をされたこともありますが、現実にはサルが正しくない文字を打ったらすかさず訂正することによって、シェークスピア完成の確立を著しく高めてきたのです。この現象は、突然変異と自然淘汰の蓄積です。

 個人ゲノム解析コストも当初目標の1000ドルを切り、10年以内には100ドルに迫ると言われています。健康診断程度の費用で早期に罹患可能性を知ることができるようになり、副作用を最小限に効果的な投薬ができる時代も目前です。いまのところ次世代シーケンサから生み出される膨大なデータ処理には高速な情報処理が必要ですが、10年の間には十分なデータ処理技術の向上が見込めるでしょう。これからの課題はむしろ、明らかにされたゲノム情報の適切な解釈のやり方に移ってゆくはずです。ゲノム状態の検査情報は明らかになっても、その意味する疾患可能性や回避すべき生活習慣・嗜好にたどり着くにはもう一段のステップが必要です。どのようなゲノム状態と生活習慣や嗜好が結びつくと疾患につながるのかについては、ゲノム解析データと、医療情報を組合わせて初めて明らかにできることであり、その意味ではやっとロゼッタストーンを手に入れた段階ともいえます。ゲノム解析結果、生活習慣、嗜好の組合わせは膨大なビッグデータです。解明は必ずしも即時と言うわけには行きません。しかし、個人毎に最適な投薬や療法が確立すれば、副作用等に悩まされることもなく、医療費も劇的に低下させることが期待できます。そして複雑怪奇な暗号を解読するためのお膳立ては揃いつつあります。

 モデル生物のゲノム配列のデータベース、遺伝子アノテーション、そして関連文献の膨大な蓄積、生命現象を理解するために必要な用語と概念の体系であるオントロジー、そしてそれらの統合化データベースなど、ヒトの健康へのフィードバックのみならず、各種資源あるいは環境構成要素としての生物への理解も深めてゆくための材料が調ってきています。こうした蓄積を進化学的視点から見ると、生命の共通性、ヒトやその他の生き物の成立過程、そしてその進化要因をも浮き彫りにすることが可能になってゆくことでしょう。また、各学問分野の融合によって初めて理解出来ることも多いはずです。

 日本バイオインフォマティクス学会、情報計算化学生物学会、日本オミックス医療学会の3学会合同大会として6回目を迎える生命医薬情報学連合大会(IIBMP2017)も、この進化を続けるダイナミックシステムのスナップショットと言うべき年次大会です。本年は、北海道大学札幌キャンパス内の情報科学研究科およびフロンティア応用科学研究棟(鈴木章ホール)にて開催します。本大会では、遺伝情報やそれによって構成される生命と、そこからもたらされる様々な情報と知見を、生物学、医学、薬学、進化学、情報科学、個人情報など、様々な材料と視点から扱った研究の発表と分野の垣根を越えた議論の場となることを期待しています。この分野に関心をもつ多くの方々にぜひご参加ならびにご支援をお願いできれば幸いです。


キーワード: 大量の遺伝情報、進化する情報としての生命、生命情報の多様性
使用言語: 日本語(一部英語での発表も含む)

 

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