日本バイオインフォマティクス学会会員のみなさま
2019年4月より会長に着任し、この3月をもって2年間の任期を終えることになりました。
任期中は、学会活動に対して多大なご支援やご参画をいただき、改めて感謝申し上げます。
学会の現況については年会中のJSBiタウンホールミーティング等でもご報告してきましたが、ご参加いただけなかった会員の方もいらっしゃると思いますので、退任のご挨拶を兼ねて、この2年間の報告をさせていただきます。
JSBiの会員数はこの2年で大きく増加し、500名強から800名近くまでになりました。これはバイオインフォマティクス分野が改めて大きく発展していることの反映でもあり、大変嬉しく思っています。
会員数の増加は効果的・安定的な学会運営の上でも極めて重要であり、引き続き、こうした傾向が続いていくことを願っています。
JSBiの重要な事業である、バイオインフォマティクス技術者認定試験についても大きな展開が見られました。
受験者数も大幅に伸び2019年度には500名を超えたほか、Computer Based Testへと実施方式の大きな転換が行われ、全国各地のテストセンターで受験することが可能になりました。
本試験の公式参考書である本学会編集の『バイオインフォマティクス入門』の発行部数も、累計1万部を突破しました。
1999年に設立されたJSBiは、2019年に創立20周年を迎えました。
この機会に学会ニュースレターのデザインを抜本的にリニューアルし、より魅力的な誌面としてお届けできるようになりました。
学会ロゴもリニューアルされ、以前のロゴのテイストは継承しつつ、現代的で、学問分野の広がりや多様性を表現したものになりました。
さらに、DOIも付与される日本語総説誌として「JSBi Bioinformatics Review」を創刊しました。
これにより、バイオインフォマティクス分野で先端的な研究を行っているJSBi会員自身による、総説論文をお読みいただけるようになりました。
学会ウェブサイトもデザインリニューアルを行い、内容の充実と整理を行いました。ウェブサイトは学会の「顔」としての役割をもちますが、JSBiの魅力が伝わるウェブサイトになったのではないかと考えています。
(もしリニューアルに伴う不具合を見つけられましたら、お手数ですが学会事務局までご連絡いただければ幸いです)
他にも、学会員向けのサービスとして論文・受賞・新刊を紹介するコーナーを開始したほか、学会twitterを開始・運用し、フォロワーも950名を越えました。
学問分野や学会の発展においては、それに貢献された先生を学会として称え、位置付けていくことが重要ですが、これまでJSBiにはそうした仕組みがありませんでした。
そこで学会名誉会員の就任手続きを整備するとともに、「日本バイオインフォマティクス学会賞」を新たに創設し、第一回の同賞を中井謙太先生に授与させていただきました。
来年度以降も、若手研究者賞にあたるOxford Journals - JSBi Prizeとともに、多くの推薦をいただければ幸いです。
この2年間には、2回の年会が開催されました。大型台風の接近やオンライン対応などの大変な苦労の中、年会を盛況のうちに開催していただいた年会実行委員の先生方に、改めて心から感謝いたします。
年会では新たに正式に学会枠を設置し、学会の現況をお伝えする場としてタウンホールミーティングを開催するとともに、記念講演などを行ってきました。
特に2020年オンライン年会は1,000名を超える方に参加いただくことができ、歴史に残る年会となったのではないかと思います。
もう一つの大きな目標として、学会運営の安定化にも取り組んできました。
学会の運営体制として、一般社団法人学会支援機構に会員・会計・法⼈業務を外部委託するとともに、JSBi特有の総務業務を内生化するシステムを整えたことで、幹事の先生方とともに運営業務を安定して進められるようになりました。
またJSBiは慢性的な赤字構造を抱えていましたが、これについても、完全な解決へはまだ道半ばですが大幅な改善を行うことができたと考えています。
他にも、これまで理事会のメール審議が定款において定められていなかったものを明文化したほか、定款・細則・諸規則を現状に合わせるための大幅な改訂を行いました。
学生会員に理事選挙への投票権を付与することで、学生会員のご意見も学会運営に反映できるようになりました。
理事会のジェンダーバランスについても、大きな変化が見られました。特に、2020年度新理事の半数は女性となりましたが、これは学会の歴史の中でもこれまで無かったことです。
最後に、JSBiではこれまで、次期会長を理事および新理事候補者による投票によって選ぶ方式をとってきました。
しかしこれには、学会運営の実質を担う幹事を次期会長が指名することができないという問題や、長期的な展望をもった学会運営が難しいことなどの大きな弊害がありました。
そこで、昨年の理事会において細則の変更をお認めいただき、会長ではなく、会長予定者としての副会長を選挙によって選ぶ形式へと変更を行いました。
これにより、JSBiの運営が、より効果的かつ長期的展望に基づいたものになるものと期待しています。
2021年度からの会長は、現在の副会長である五斗先生に務めていただくことになります。
改めて、みなさまに感謝申し上げます。引き続き、学会活動へのご支援・ご協力をいただければ幸いです。
2019-2020年度 日本バイオインフォマティクス学会長
岩崎 渉