ワークショップ WS-1
空間オミックスデータ解析の最前線
日時・会場 | 9月3日(水)13:40〜15:10 第1会場 |
オーガナイザー | 山下 理宇(国立がん研究センター先端医療開発センター) Alexis Vandenbon(京都大学 医生物学研究所 生命システム研究部門) |
近年、空間一細胞オミックス解析技術の革新が進み、Xenium(トランスクリプトーム)や多重免疫染色(PhenoCycler)を用いることで、どの細胞でどのようなmRNAやタンパク質が発現しているかを空間的に観察することができるようになってきた。これらの技術は、切片標本上で遺伝子がどこで発現しているか観察できるため、細胞と細胞の相互作用が重要な脳科学やがん研究の分野で非常に良く使われている。しかしながら、現状は、定型的な解析手法が存在せず、せっかくの位置情報を十分に生かしたデータ解析が行われていない。本ワークショップでは、簡単な空間オミックス解析技術の紹介の後、空間オミックス解析のデータ解析部分に特化し、解析技術を最先端で開発している数名の演者に講演をいただく。また、単なる技術共有では無く、空間オミックス解析が抱える課題と将来像についても議論していく予定である。
■ Introduction
山下 理宇 (国立がん研究センター先端医療開発センター)
■ 肺がん進展メカニズム解明に向けた空間オミクス解析の実用例と解析手法
鈴木 絢子 (東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
■ シングルセルレベルの空間発現解析における解析ツールの実例と課題 ~ SPACEINSIGHT を例に ~
片山 稔 (GxD株式会社)
■ 空間オミックス解析のデータベースとその課題
Vandenbon Alexis (京都大学・医生物学研究所)
■ 空間オミックスデータ解析の最前線-空間統計学的解析の現状と問題点
Yan Ange (東京大学新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻)
■ 組織構造の周辺領域の解析:空間オミクスによるアプローチ
酒井 俊輔 (国立がん研究センター 先端医療開発センター トランスレーショナルインフォマティクス分野, 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻)
ワークショップ WS-2
微生物ゲノム解析の最前線
日時・会場 | 9月3日(水)13:40〜15:10 第2会場 |
オーガナイザー | 福永 津嵩(慶應義塾大学理工学部) |
微生物学は、バイオインフォマティクスの進展によって最も大きな変革を遂げてきた分野の一つである。近年では、メタゲノム解析や比較ゲノム解析を通じて微生物多様性の理解が深化するとともに、新規遺伝子の発見や機能未知遺伝子の機能推定、生態系における微生物の役割解明などが急速に進展している。従来はWetなアプローチを主軸としていた研究者においても、近年は自らバイオインフォマティクス解析を行う例が増加し、研究スタイルの変容や学際的な連携の進展が顕著となっている。本セッションでは、腸内および環境由来のメタゲノム解析やメタトランスクリプトーム解析、比較ゲノム解析の手法開発などを進める研究者による講演を通じて、Wet/Dryの境界を越えた協働によって切り拓かれるゲノム微生物学におけるバイオインフォマティクスの今後を議論する。
■ SAR11 Genome Atlas: 海洋で優占する細菌系統群のゲノム・遺伝子データベース
西野 聡1,2, 富永 賢人1, 大前 公保3, 濵﨑 恒二1,2, 西村 祐貴1, 吉澤 晋1 (1東京大学 新領域創成科学研究科, 2東京大学 大気海洋研究所, 3 理研 CPR)
■ 微生物のDNA化学修飾の役割理解を目指したエピゲノム解析
平岡 聡史 (海洋研究開発機構)
■ メタトランスクリプトームで探る、自然環境における光合成のしくみ
小川 敬子 (埼玉大学大学院理工学研究科)
■ 腸内マイクロバイオームの変動と疾患関連を左右する糞便微生物負荷量の影響
西嶋 傑 (The University of Tokyo)
■ MBGD: 大規模な微生物比較ゲノム解析基盤
内山 郁夫 (基礎生物学研究所)
ワークショップ WS-3
植物と大気環境の相互作用:原子から生態系まで
学術変革領域A「光合成ユビキティー」, 学術変革領域A「植物気候フィードバック」共催
日時・会場 | 9月3日(水)13:40〜15:10 第4会場 |
オーガナイザー | 広瀬 侑(豊橋技術科学大) 永野 惇(名古屋大学) |
植物は大気を含む環境と相互作用しながら、変動を繰り返す地球環境に適応してきた。植物と地球環境の相互作用を遺伝子やタンパク質などの分子レベルの生体データから解き明かすことは、地球温暖化等の問題を抱える現代社会にとって急務といえる。このワークショップでは、この問題への情報生物学的アプローチを紹介しディスカッションすることを目的とする。
■ はじめに
■ 生物学と大気化学、気候モデルの接点:BVOC放出の環境応答
永野 惇 (名古屋大学, 慶應義塾大学)
■ GWAS・TWASに準じる関連解析をマクロ進化スケールで実現する
福島 健児 (国立遺伝学研究所)
■ 始原型光合成集光装置であるフィコビリソームの多様性
河合 繁,広瀬 侑 (豊橋技術科学大学)
■ 二面角系弾性ネットワークモデルによる光合成超複合体AFMイメージの予測
大森 聡1, 嶺井 隆平1, 土方 敦司2, 土屋 裕子3, 白井 剛1 (1長浜バイオ大・バイオサイエンス, 2東薬大・生命科学, 3産総研・人工知能研究センター)
■ 光合成タンパク質の分子構造を用いた集光エネルギーネットワーク解析
金 恩哲 (日本大学)
ワークショップ WS-4
実験自動化のためのインフォマティクス
日時・会場 | 9月4日(木)10:10〜11:40 第1会場 |
オーガナイザー | 尾崎 遼(理化学研究所) |
生命科学において実験技術と情報技術の融合は、研究を飛躍的に加速させる重要な鍵となっている。近年、実験再現性やデータ生産効率の向上を目指し、自動実験装置やロボットによる生命科学実験の自動化が世界的に広がっている。「実験自動化のためのインフォマティクス」は、ロボティクス化のみならず、実験状況のモニタリング、リアルタイムのデータ解析と解釈、次の実験計画への効率的なフィードバックなど、多岐にわたる重要な要素を含む。しかし、これらの分野には多くの課題と大きな伸びしろがある。本ワークショップでは、多彩なインフォマティクス研究者を招き、最新の技術的進展や事例を共有し、課題や今後の展望を議論する。IIBMPに参加する広義の生命科学分野の研究者の参入を促し、生命科学と情報科学の境界を越えた新たな研究の地平を開拓することを目指す。
■ はじめに
■ 実験自動化のためのスケジューリング手法の開発と展開
尾崎 遼 (理化学研究所, 筑波大学)
■ 材料科学における実験自動化とデータ活用:粉体プロセスのインフォマティクス
中島 優作 (阪大院工)
■ ProtoCode:
言語モデルを活用した生命科学実験プロトコル情報の規格化
山本 楠1, Jiang Shuo2, Bersenev Dennis2, Palaniappan Sucheendra K.1, 谷内江 綾子1 (1システム・バイオロジー研究機構, 2SBX BioSciences)
■ バイオ実験ロボットのデジタルツインとsim2real転移への挑戦
齋藤 裕 (産業技術総合研究所, 北里大学)
■ 総合討論
ワークショップ WS-5
BIが駆動するバイオものづくり
JST GteX「バイオものづくり」領域 共催
日時・会場 | 9月4日(木)14:00〜15:30 第1会場 |
オーガナイザー | 松井 求(京都大学) |
バイオものづくりは、持続可能な社会を実現するために不可欠な達成目標であり、同時に、基礎的な分子生物学研究からスマートセル開発、マルチオミクス解析、フィールド生態学に至るまで、まさに生物学のあらゆる分野を結集した学際分野でもあります。その中で、BIはまさに要の役割を担っており、バイオものづくりの成否、しいては人類の持続可能性は我々BI研究者の肩にかかっていると言っても過言ではないでしょう。本ワークショップでは、JST GteX<バイオものづくり>でBI研究に携わっておられる4人の先生方をお招きし、高効率な遺伝子発現系の探索、有用物質を生産する代謝システムの設計、次世代オミクス解析技術の開発、進化解析に基づく新規代謝経路の発見、といった話題についてご発表いただきます。BIがどのようにバイオものづくりに貢献できるのか、講演者と聴衆を交えて、じっくり考える機会にしたい。
■ はじめに
■ 高効率物質生産のための微生物代謝システムの改変
戸谷 吉博 (大阪大学大学院情報科学研究科)
■ バイオものづくりのための情報論的アプローチに基づくマルチオミクスデータ解析
宇田 新介 (山口大学)
■ タンパク質発現向上のための翻訳促進ペプチドの機械学習と実験による探索
本野 千恵1,2, 横山 源太朗1,3, 中野 秀雄4, 浜田 道昭1,3, 加藤 晃代4 (1産総研 細胞分子工学, 2産総研 セルフケア実装研究センター, 3早大 理工学術院, 4名大院 生命農学研究科)
■ 祖先状態を考慮した新規系統プロファイリング法による遺伝子機能予測とバイオものづくりへの応用
西村 祐貴1, 大前 公保1,2, 富永 賢人1,2 (1東京大学大学院新領域創成科学研究科, 2理化学研究所開拓研究所)
■ 総合討論
ワークショップ WS-6
Bio x Info EXPO 若手クロストーク
JST ACT-X「生命と情報」領域 共催
日時・会場 | 9月4日(木)14:00〜15:30 第2会場 |
オーガナイザー | 河口 理紗(東大薬・京大iPS研) 石川 雅人(京大医生研) |
本ワークショップでは、ACT-X「生命と情報」領域に参画する若手研究者が中心となり、生命科学における情報学的アプローチの多様な融合研究を紹介する。計算機や測定機器の向上に伴い、生命科学や創薬・医療・バイオテクノロジーの分野では大量の情報を扱う解析手法がもはや必須の技術になる一方で、研究者たちは従来の研究対象やアプローチなどに依存した異なるコミュニティに属しており、そうした分断を超えた交流によって初めて見出されるニーズや新たな研究領域が存在する。特に、将来を担う若手研究者の間では、分野を越えた広範な人的ネットワークの構築が強く望まれている。本企画では、分子・細胞レベルの基礎生命科学から、疾患研究や個体レベルの応用研究に至るまで、幅広い研究事例を取り上げる。バイオインフォマティクス学会に初めて参加する研究者を含め、異分野の若手研究者が交流し、学際的連携に必要な基盤となる知識や技術、研究上の課題を共有・議論する場とする。
■ はじめに
■ 粗視化分子シミュレーションによる転写因子の生体分子凝縮体への選択的分配
安田 一希 (慶應義塾大学)
■ 複雑形質を解きたい、とDNA配列が言っている
小井土 大 (東京大学大学院新領域創成科学研究科, 理化学研究所生命医科学研究センター)
■ 生化学反応ネットワークの構造に基づく細胞表現型のマーカー分子の同定
YongJin Huan, 岡田 崇, 望月 敦史 (京都大学)
■ ヒト発生過程における若返り現象の発見と制御
笠原 朋子 (理化学研究所 開拓研究所)
■ 総合討論:Bio x Info EXPO 若手クロストーク
河口 理紗 (東京大学薬学系研究科, 京都大学iPS研)
ワークショップ WS-7
AI時代のRNAインフォマティクス
日時・会場 | 9月4日(木)15:40〜17:10 第1会場 |
オーガナイザー | 浅井 潔(東京大学) 佐藤 健吾(東京科学大学) |
RNA干渉/miRNAの発見以来、様々なノンコーディングR N Aが重要な機能を持っていることが明らかとなり、RNAの配列・構造・機能を比較・解析・予測するRNAインフォマティクスは、2次構造解析、相互作用予測、RNA-seq 解析で大きな貢献をしてきた。また近年では、Covid-19ワクチン、合成生物学等において、RNA設計技術も大きな注目を集めている。一方、社会変革を起こしつつある大規模言語モデルは、ゲノム配列、タンパク質配列のみならず、RNA配列においても威力を発揮している。さらに、タンパク質立体構造予測でブレイクスルーを成し遂げたAlphafoldは、核酸やその複合体構造の予測にも拡張されつつある。本ワークショップでは、RNAインフォマティクスの最新の成果を元に、A I時代のRNAインフォマティクスを展望する。
■ はじめに
■ AI時代のRNAインフォマティクス:オーバービュー
佐藤 健吾 (東京科学大学生命理工学院)
■ 機械学習を用いたRNAファミリー配列の設計と発見
角 俊輔 (東京大学 定量生命科学研究所)
■ mRNA設計のためのマルチモーダル生物言語モデル
齋藤 裕 (北里大学, 産業技術総合研究所, 東京大学)
■ 空間トランスクリプトームにおける一細胞解像度の微小環境表現の獲得
小嶋 泰弘 (国立がん研究センター)
■ RNA 創薬を加速するバイオインフォマティクス技術
浜田 道昭 (早稲田大学, 産業技術総合研究所, 日本医科大学)
ワークショップ WS-8
物理と進化に学ぶ生命情報学の新展開
学術変革領域A「進化情報アセンブリ学」 共催
日時・会場 | 9月4日(木)15:40〜17:10 第2会場 |
オーガナイザー | 鈴木 誉保(順天堂大学) |
生物は分子から個体に至る多様なスケールで、洗練された機能を発現するシステムを構築している。こうした機能がどのような物理的・進化的過程を経て出現し、複雑化・高度化してきたのかに焦点をあてる。その理解の鍵として、我々は「アセンブリ(Assembly)」という概念を提案する。アセンブリとは、異種の構成要素が組み合わさることで新たな性質や機能が創発するプロセスであり、タンパク質、細胞、発生、進化といった生命の主要な階層に共通して見られる現象である。
本ワークショップでは、「複雑な生命機能がいかに構成されるか」という根本的問いに立ち返り、多体系数値計算・相分離理論・発生ダイナミクス解析・進化系譜解析といった多角的なアプローチに注目し、生命の構造化と機能創発の過程を物理と進化の視点から探る。この問題に挑む若手研究者をお招きし、最新の理論と技術を紹介し、生命情報学の新展開を議論したい。
■ はじめに
■ 生物系ヘテロポリマーの物理と文法
川口 喬吾 (理化学研究所 開拓研究所, 東京大学理学系研究科 物理学専攻 知の物理学研究センター)
■ 数理モデリングから理解する、しなやかに変形する細胞の集団運動
斉藤 稔 (広島大学)
■ 動き回るヘテロな細胞集団によるマルチタスク性の創発
梅津 大輝1, 脇田 大輝2, 加納 剛史3 (1大阪大学大学院理学研究科, 2東京大学大学院理学系研究科, 3公立はこだて未来大学システム情報科学部, )
■ 多要素システムの組み合わせ進化
鈴木 誉保 (順天堂大学)
■ 総合討論
ワークショップ WS-9
微生物によるCO₂資化とその情報解析基盤の最前線
日時・会場 | 9月4日(木)15:40〜17:10 第4会場 |
オーガナイザー | 五斗 進(ライフサイエンス統合データベースセンター/NPO法人バイオインフォマティクスジャパン) 川島 秀一(ライフサイエンス統合データベースセンター) |
近年、持続可能な社会の実現に向けたグリーン・イノベーション(GI)が注目を集めており、その推進にはバイオインフォマティクスの活用が不可欠です。GIの一環として、政府は2050年までのカーボンニュートラルの実現を掲げており、CO₂の有効利用に向けた取り組みが進められています。
本ワークショップでは、GIの中でも微生物によるCO₂の有効活用に焦点を当て、CO₂固定微生物の探索や特徴抽出に関連するバイオインフォマティクス技術について議論します。具体的には、多様な環境から新規CO₂資化性微生物を探索するためのメタゲノム解析、ゲノム情報に基づく表現型予測、CO₂固定経路のタイプ推定などの手法を紹介します。
また、これらの研究に必要なバイオリソースやデータの整備は依然として不十分であり、それらの技術的課題に対する取り組み事例も紹介します。さらに、これらのリソースや技術の有効活用についても議論を深める予定です。
■ はじめに
■ CO₂固定微生物の探索とデータ基盤構築に向けた取り組み
大塚 梨沙 (製品評価技術基盤機構)
■ 微生物ゲノムから炭素固定経路を読み解く:多様な経路の体系的把握に向けて
川島 秀一1, 森 宙史2 (1ライフサイエンス統合データベースセンター, 2国立遺伝学研究所)
■ MAGを基盤とした微生物のデータベースMicrobiome DatahubとMAG解析について
森 宙史 (国立遺伝学研究所)
■ ゲノムと進化情報に基づく原核生物の形質推定
松井 求 (京都大学化学研究所)
■ 総合討論