● 研究所紹介 ●


理化学研究所 ゲノム科学総合研究センター(GSC )


和田昭允(所長)

英 語 名 称  : RIKEN Genomic Sciences Center
所   在   地  : 神奈川県横浜市鶴見区末広町1-7-22 (郵便番号230-0045 )
人 員 数(名) : 76(平成10年)、125(11年)、250(12年)、335(13年)、
予算(¥百万): 2,201(平成10年)、6,426(11年)、8,688(12年)、11,192(13年)、
⇒GSCは最近年のライフサイエンスの急展開に応えるために、我が国の戦略的中枢研究機関として創設された。
分子生物学や生物物理学による分子論的生命理解の確立によって、ライフサイエンスは定量的精密科学へと変貌した。DNA、タンパク質から個体に至る諸階層の情報・構造・機能に関する大量のデーターがその発展を支え、その基盤整備は科学技術先進国の必要条件となった。GSCは、科学技術立国を目指す日本がこの世界的認識を持って、世界の3極(日・米・欧)の1極を占める中枢研究機関として、平成10年10月に設立された。

⇒GSCは「計測」と「数理」を武器として6研究グループを展開し、分子から個体に至る生命全体を総合的に研究し開発する。
生命を真に理解し開発するためは、分子レベルから個体に至る階層構造のいろいろな局面で「情報・構造・機能三者間相関」を広く精密かつ定量的に研究しなければならない。GSCでは以下の6研究グループを展開し、それぞれが密接な連携を持ちながらデーター抽出、解析、応用への開発を行っている。
A.分子レベル研究(3グループ):ヒトゲノムDNA )(21番、11番、18番染色体)解読、マウス完全長cDNAエンサイクロペディア作製、タンパク質基本構造エンサイクロペディア作製。
B.個体レベル研究(2グループ):変異モデル動物・モデル植物作製(マウス、シロイヌナズナ)。
C.ゲノム情報科学(1グループ):
D.統合データーベース施設:

⇒ GSCは研究基盤として、科学技術を総動員した情報抽出、構造解明、機能解析の大型システムを戦略的に運営する。
今日の“データー・ドリブン”生命研究において、我が国はもとより世界の学界・産業界の要請に応えるべく、バイオ解析の基盤となる大型DNA解析ライン、タンパク質解析のための総合計測システム(NMRおよび放射光)、および変異動物・植物作製のための大型飼育施設を整備する。また、膨大なデーターを整理・処理・解析する統合データーベースを確立する。

⇒ GSCは“新”と“有用”の創出により、日本および世界人類に貢献する。
○ “新しい”「発見」、「原理解明」、「方法論創出」、「生命観の確立」により、人類の知的資産の蓄積に貢献する。内外の研究機関との協力によって、最先進国としての日本の国際的地位を高め、ライフサイエンスの基礎・応用における世界的展開の発言権を確保する。
○ “有用な”「機能・物質の発見」、「メカニズムの解明」、「新手法の発明」に知的所有権を確保し、de facto standardを確立する。GSC/企業連携とGSCから諸産業への技術移転とによって、科学技術立国を謳う我が国の経済基盤強化に貢献する。


理化学研究所  ゲノム科学総合研究センター

京都大学化学研究所バイオインフォマティクスセンター

金久 實(京都大学化学研究所バイオインフォマティクスセンター長)

京都大学化学研究所バイオインフォマティクスセンターは、急増するゲノムの情報をバイオサイエンスの広範な知識と統合した情報基盤を整備し、ゲノムから生命システムへの情報構築原理を明らかにする基礎研究、ならびにそれに基づく応用のための情報技術の開発研究等、バイオインフォマティクスの研究を推進することを目的として、2001年4月に設置されました。
ゲノムの情報を真の意味で解読するには配列情報だけでは不可能です。これまでに蓄積された生命科学の膨大な知識を体系化し、DNAチップをはじめとした新しい実験データを活用し、さらには自然界の法則、とくに物質間相互作用や化学反応に関する法則と関連づけて、生命のシステムを理解していく必要があります。京都大学化学研究所では、生命のはたらきとは個々の遺伝子あるいはタンパク質に還元できるものではなく、本質的に多数の遺伝子あるいはタンパク質が複雑に相互作用したネットワークのシステムで実現されるものであるとの考え方に基づき、生命システム情報統合データベース KEGGとそれに伴う情報技術を開発し、ゲノムネット(http://www.genome.ad.jp/)の中心システムとして提供してきました。このような研究をさらに発展させ、ゲノムから有用性を見いだす技術力で国際的に優位に立つことにより、我が国の経済の発展と社会の福祉に貢献することができると考えています。
センターは3つの研究室(領域)から構成されています。従来からの金久研究室(生命知識システム領域)に加え、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターより阿久津達也氏と宮野悟氏を教授に迎えて、阿久津研究室(生物情報ネットワーク領域)と宮野研究室(パスウェイ工学領域)が10月に発足しました。データベース構築やゲノムネット運用といった実用面だけでなく、アルゴリズム開発や理論的な側面が大幅に強化されることになります。マイクロアレイ解析、タンパク質間相互作用解析、タンパク質立体構造予測をはじめ、新しい研究が展開されるでしょう。センターにはすでに70名が在籍し、来年には100名を越えると予想されます。また、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターとの間では、緊密な人事交流により、実質的に一体化した共同研究・教育体制を作り上げていく予定です。
本バイオインフォマティクスセンターの一部となったスーパーコンピューターラボラトリーでは、2002年1月より新しいシステムが稼働します。SGI Origin 3800を中心とした共有メモリマシンのクラスター(総CPU数1,000)で、ゲノムネットサービスも大幅に改善される予定です。

産総研 生命情報科学研究センター(CBRC )

秋山 泰(研究センター長)

データ(2001年9月現在)
人   数 : 57 名
研究系 : 職員13 、ポスドク等 8 、顧問 2
              外部研究員(企業・大学院生) 27
事務系 : 職員 2 、アシスタント 5
予   算 : H13 年度 356 百万円 (2001年9月現在) うち約330百万円が日本新生(ミレニアム)。
              他に科学技術振興調整費「人材養成(バイオインフォマティクス)」(約90百万)10月開始予定。
面   積 : 産総研臨海副都心センター内 約900
所在地 : 〒135-0064 東京都江東区青海 2-41-6
               Tel.03-3599-8080   URL.http://www.cbrc.jp/

設立の目的
産総研CBRCは、我が国におけるバイオインフォマティクス研究の拠点となることを目指して、平成13年4月に東京お台場に設立された。既に50名の研究者が集結している(末尾データ欄)。生物学・物理学・情報科学などの幅広い背景を持つ研究者が同じ目標の下に集い、自由で学際的な空気の中で、産学連携研究を精力的に進めている。
欧米では10年以上前にバイオインフォマティクスの重要性が深く理解され、NCBI・EBI等の公的研究拠点が整備されてきた。これらの拠点では実験は一切行わず、バイオインフォマティクスの基盤理論と応用技術の高度化が推進された。しかし我が国では、バイオインフォマティクス研究を実験から独立させる必要性と利点が最近まで理解されていなかった。実験プロジェクトにも高度なITチームは欠かせないが、それとバイオインフォマティクス技術の高度化とには隔たりがある。バイオインフォマティクスは学際的技術であり、多岐にわたる専門家が同じ屋根の下に集結してこそ醸成される。またゲノム・トランスクリプトーム・プロテオーム・メタボロームと対象データが異なっても、本質的に似た理論が援用できるケースも多く、世界中の実験プロジェクトと自由に関係を結べる独立性が強く望まれる。さらには、極めてtechnology-orientedな分野であるため、新しい測定技術が勃興した時には、インフォマティクス専門家は既存のルーチンを放棄してでも即応が求められる。これらは実験プロジェクトに従属した小チームがいくら優秀でも達成が困難である。
我が国にはバイオインフォマティクス専門の大型拠点は無かったが、優れた研究は行われて来た。産総研CBRCは、国内の大学や、先行する公的研究機関とは相補的な独自の役割を果たしたい。(詳細は設立時にWWW上に掲載したポリシーステートメントを参照されたい。)NCBIでは、バイオインフォマティクス分野での論文実績の無いポスドクやプログラム開発者も大量に雇用して、現在は300名前後、2年以内には500名体制を目指すという。そこで産総研CBRCは、ポスドクやプログラム開発者の人材インキュベーションセンターの役割も果たしたい。H13後期から始まる文科省の人材養成プロジェクトの一環として、ポスドクや他分野からの転向者を現在募集している。
研究トピックス紹介
ゲノム情報科学チーム(諏訪牧子リーダー)が中心となり、ヒトゲノム全体から創薬のターゲットとして最も重要なGPCRを同定し、データベース化(SEVENS)した。予想された750前後ではなく900個データベース化(SEVENS)した。予想された750前後ではなく900個弱の候補が発見された。これには、数理モデル・知識表現チーム(浅井潔リーダー)が開発した多重出力HMMに基づく遺伝子発見システム(GeneDecoder)の果たした役割も大きい。

        
産総研CBRC の建物
        
1040 プロセッサのPC クラスタ


慶應義塾大学鶴岡キャンパス先端生命科学研究所
(The Institute for Advanced Biosciences )


冨田 勝(研究所長)

コンピュータを用いて代謝プロセスを定量的にモデリングし、その動的な振る舞いを解析・最適化することによって有用微生物を“デザイン”する。そんな「IT主導型バイオサイエンス」を目指して、慶應義塾大学は東北の新拠点・鶴岡キャンパスに先端生命科学研究所を新設しました。
有用微生物のCAD(Computer Aided Design)とでも呼べるこの革新的技術を実現するためには多くの異分野技術を結集する必要があります。(1)酵素を精製しその速度論パラメータを解析する酵素工学技術、(2)代謝物質をアイソトープでラベルするなどして代謝流量を解析する代謝工学技術、(3)代謝物質の濃度をハイスループットに計測する分析化学技術、(4)必要に応じて遺伝子を削除・挿入するゲノム工学技術、(5)多数の代謝反応を高速かつ正確にシミュレーションする計算手法およびハードウェア技術、(6)多数の代謝反応式を容易に定義・編集・デバッグするためのソフトウエア工学技術、(7)未知のパラメータを自動的にかつ効率よく予測・チューニングする数理解析技術、など。
新研究所ではこれら異分野の研究グループを結集させ、ひとつの目標に向かって協力します。代謝システム工学は清水和幸教授のグループ、分析化学は西岡孝明教授のグループ、ゲノム工学は板谷光泰教授と森浩禎教授のグループがそれぞれ担当し、情報科学は冨田勝教授(研究所長)のグループが担当します。
慶應義塾は、この新研究所を「アカデミックベンチャー」と位置付け、失敗を恐れず積極的に新規先端技術の開発を推進します。 本研究所は実験施設を備えた本格的バイオ研究所ですが、その所長に情報科学出身者を任命したこと自体、新しいパラダイムのバイオサイエンスを世界にむけて発信しようという慶應義塾の強い意欲の表れです。
また、首都圏に集中する傾向のある日本のアカデミズムにおいて、自然豊かな郊外でこそ豊かな発想を育む、という欧米型キャンパスを目指して山形県に新キャンパスを開設したことも慶應義塾のチャレンジと言えましょう。 実は鶴岡は、行楽シーズンになると旅行者で旅館の予約が取れなくなる、観光リゾート地なのです。鶴岡キャンパスは日本桜百景のひとつとして有名な鶴岡公園の中に位置し、ビーチまで15分、スキー場まで30分、温泉まで15分の距離にあります。研究の合間に、夏はスキューバダイビングやフィッシング、冬はスキーが楽しむことができます(ちなみに月山では夏スキーも)。
庄内空港−研究所間は15分、羽田−庄内間は50分ですから、首都圏から日帰り圏内にあります。また、鶴岡キャンパスと湘南藤沢キャンパス(SFC)とはギガビット回線で接続され、遠隔会議や遠隔授業も日常に行っています。鶴岡キャンパス内の池のほとりに設置したコテージ風の学生寮/宿泊施設は学生・スタッフからすこぶる評判が良く、「SFCの別荘」との異名をとります。同じ池のほとりには学食がありますが、学食と言っても鶴岡市屈指の有名レストランが直営する本格レストランです。夜は居酒屋風になって10時まで営業しています。
10月20〜21日には本研究所でシンポジウムが開催されます(本号3ページ)。また本研究所開設にあわせて慶應義塾大学では、「大学院バイオインフォマティクス・プログラム」(政策・メディア研究科修士・博士課程)と「バイオインフォマティクス・クラスタ」(環境情報学部)を13年度より新設しました(本号11ページ)のであわせて参照してください。



特定非営利活動法人 システムバイオロジー研究機構
(The Systems Biology Institute )


北野 宏明(システムバイオロジー研究機構会長)

システムバイオロジー研究機構(SBI:会長 北野宏明、理事長 安西祐一郎 慶応義塾大学 塾長)は、システムバイオロジーの研究を推進するために2001年4月に内閣府より設立認可を受けた、おそらく、日本ではじめてのNPO型基礎研究法人である。米国では、多くのNPO型研究所が存在し、基礎生物学分野の大きな担い手となっている。有名な例が、The Salk Institute, The Scripps Institute for Molecular Biology, The ColdSpring Harbor Laboratoryなどである。このNPO法人という形態では、最近まで法体系が存在せず、現在でも、十分な法制度が整備できていない状況ではあるが、文部科学省の科学技術政策研 究所は、NPO法人を基礎研究の重要な担い手として育成するべきであるという報告書をまとめている。また、NPO法の改正によって、科学技術が、NPOの活動項目として追加されるなどの動きがある。
NPO法人とは何か。端的にいえば、民間による公的セクターである。民間法人であるために、政府機関に特有な制約から自由であり、株式会社ではないために、営利目的ではないと同時に、株主圧力がない、中立的かつ柔軟な法人形態である。NPO法人の場合、基本的に利益は、その目的に全て再投資されることが原則になっている。
SBI自体のミッションは、システムバイオロジーに関する、幅広い研究や教育、啓蒙を行うとともに、その成果の社会への還元、産業化への展開を行うことにある。SBIは、立ち上がったばかりの組織であり、まだまだ不備が多い。しかし、将来を見据えて考えれば、このような組織形態が、日本の基礎研究の重要な位置をしめるであろうことは、疑いなく、そのための基礎作りであると考えている。
本研究機構の当面の研究課題は、科学技術振興事業団の創造科学推進事業(ERATO)の1プロジェクトである、北野共生システムプロジェクトでのシステムバイオロジー関係の研究の拡充と成果展開にあることは、言うまでもないが、新規のプロジェクトも立ち上げ、人員の充実と共に、大きな展開を目指したい。
ERATO北野共生システムプロジェクトからの発展課題は、(1)発現プロファイルなどのハイスループットデータからの遺伝子制御回路のリバースエンジニアリング、(2)線虫など多細胞生物の細胞系譜を自動追尾する顕微鏡システム、(3)GTP結合蛋白および、カルシウム振動のダイナミクス等が、テーマである。また、新規のテーマと しては、農林水産省のプロジェクトである、イネ・ゲノム・シミュレーション・プロジェクトの一環として、リーバスエンジニアリング手法の植物細胞データへの応用などのプロジェクトが、始まろうとしている。
現在、共にこの新領域と新研究所を立ち上げるチャレンジ精神にとんだ、いろいろなレベルでの人材(研究員、事務スタッフなど)を募集している。

連絡先: 東京都渋谷区神宮前 6-31-15 M31 6A
E-mail: kitano@symbio.jst.go.jp
Phone: 03-5468-1661



International Society for Computational Biology

Stanley R.Jacob

at Stanford Medical Informatics・Stanford University・School of Medicine・MSOB Rm 215 251
Campus Drive, Stanford, CA 94305-5479 Tel:650-736-0728・Fax:650-725-7944

ISCB MEMBERSHIP OFFERS SUBSTANTIAL FEE DISCOUNT TO MAJOR CONFERENCES
Membership in the International Society for Computational Biology (ISCB)offers substantial fee discount to three major conferences.
These are ISMB, PSB and RECOMB. Generally, the fee discount amounts to about ten percent. Attending one of these conferences alone is more than enough to pay for annual membership dues and subscription to Bioinformatics, the Society's official publication published by Oxford University Press.
The annual Intelligent Systems on Molecular Biology (ISMB)is ISCB's official annual conference. ISMB02 will be held on August 3-7, 2002 at the Edmonton Shaw Conference Center in Edmonton Alberta, Canada (website:http://www.cs.ualberta.ca/~ismb02/). PSB 2002 will be held on January 2-7,2002 at the Kaua'i Marriott, in Kaua'i,Hawaii (website:http://psb.stanford.edu/)
According to Russ B.Altman, president of the Society, discounts,however, are not only the reason for becoming a member of ISCB.
Altman says membership exposes one to an international bioinformatics network. At the same time, a member helps strengthen computational biology in the international science scene.
ISCB, one of the fastest growing scientific organizations, has tripled its membership in the last three years. Its members are dedicated to advancing the scientific understanding of living systems through computation. Members also emphasize the role of computing and informatics in advancing molecular biology.

To join ISCB and learn more about the society and its conferences, visit our website:http://www.iscb.org/registration.html.

Contact:Stanley R. Jacob, Administrator email:jacobs@smi.stanford.edu




TOPページへ前のページへ次のページへ