学会概要

 

会長挨拶


バイオインフォマティクスの発展に向けて

日本バイオインフォマティクス学会 会長

五斗 進

2021年7月8日

2021年4月1日付けで、日本バイオインフォマティクス学会(JSBi)の会長に就任いたしました。前任の岩崎渉先生による積極的な改革により、大きく発展した2年間の後を引き継ぐことになり、プレッシャーを感じております。現状いい方向に進んでいますので、基本的な路線は引き継ぎつつ、より一層の発展ができるよう、以下の3つの点を中心にJSBiの活性化に尽くしていければと考えています。

 

1. バイオインフォマティクスという学問のこれからの発展

2. その中での若手支援と研究活性化の重要性

3. 研究者を含めたアウトリーチの拡充

 

1.バイオインフォマティクスという学問のこれからの発展

 

JSBiの学会としての重要な機能の一つに年会があります。現在は日本オミックス医学会と共催で医薬生命情報学連合大会として毎年開催しています。当初はCBI学会とも共催しており名前の通り、医薬に関する活動が目立っている感もあります。一方、バイオインフォマティクス自体は、環境や農学なども含めた生命科学全般と情報科学に関する基礎的な活動も含めた幅広い学問として発展してきており、それらが容易に融合できるような環境を整備して提供することが重要ではないかと考えています。各年会担当の先生方のご尽力もあり、年会参加者の数も増加傾向にあります。また、初めて参加される方の次年度の年会費を免除する制度も整備され、JSBiの会員数も増えてきました。これまでの会員と新しい会員の両者にとって役に立ち、相乗効果でともに活性化する方策などを皆様のご意見も伺いながら出していければと考えています。

 

2.若手支援と研究活性化

 

昨年からのコロナ禍の影響で、この1年間は対面での年会や研究会を開催することがほとんどできていません。最近ではオンラインでの議論にも慣れてきつつあり、コロナ禍が落ち着いてもオンラインでの開催形態はある程度続くと考えられますが、やはり直接会って直接相手の表情を見ながら議論できることは何物にも代えがたいものです。ワクチン接種も一周りする年末以降は徐々に従来の形での年会や研究会の開催もできるようになると思います。その際に若手からシニアまで垣根なく議論できるように、若手に対する旅費補助などの支援をしていきたいと考えています。幸いにも後藤修名誉会員(第5代会長)から寄附を頂いており、それを原資にしたフェローシップの設立が理事会で議論されています。今後も企業や個人の皆様からの寄附は大歓迎です。また、このような寄附の使いみちに関するアイデアも皆様から出していただければ幸いです。

 

3.アウトリーチ

 

広報に関しては、岩崎前会長の時代にホームページとニュースレターの大幅なリニューアルがあり、twitterなども活用してプレゼンスは大きく向上しました。今後はさらなるアウトリーチの拡充を目指したいと思います。現状では、Wikipediaに記載する内容をブラッシュアップすることなどが議論されています。また、バイオインフォマティクス技術者認定試験は様々な層の方に受験していただいております。合格者には入会費と次年度の年会費の免除という特典があり、金銭的な面で本学会に入会することのメリットは出していますが、今後活動内容自体にも大きな魅力を感じてもらえるような仕組みも構築していく必要があると感じています。昨年から始めた JSBi Bioinformatics Review は企画、執筆依頼、執筆までを若手中心に進めてくれています。新たな分野の研究に踏み込む場合、このようなレビュー記事(特に日本語による記事)はとても有用です。皆様からもアイデアがあれば是非お知らせください。

 

最後に、学術的な活動を行う上で海外の研究者との連携は非常に重要です。JSBiが立ち上がった際にはGIWが年会になっており英語が公用語でした。日本の学会なので日本語で深く議論できる場を提供できている現状は非常に良い環境ではありますが、一方で、国際ワークショップの日本での開催があまりないのも寂しい気がします。幸いにもアジアバイオインフォマティクス会議を数年後に日本で開催する可能性が出てきていますので、それに向けた準備を進めていく考えです。

もちろんこれらは幹事・理事を始め会員の皆さんのご協力なくしてはできないことですし、会員の皆さんが学会に所属することのメリットを感じてもらえるが第一です。小さいことからでも結構ですので、ぜひご協力をお願いできれば幸いです。これから2年弱と短い期間ですが、バイオインフォマティクス学会の発展に微力を尽くす所存です。どうぞよろしくお願いいたします。

 

2023.3.31掲載

2021-2022年度学会長より退任のご挨拶

日本バイオインフォマティクス学会会員の皆様

 

2021年4月より会長に着任し、この3月で2年間の任期を終えることになりました。

任期中は、学会の様々な活動に対して多大なご支援をいただき、感謝申し上げます。

 

着任当初の目標として

1. バイオインフォマティクスという学問のこれからの発展

2. その中での若手支援と研究活性化の重要性

3. 研究者を含めたアウトリーチの拡充

の3つを挙げました。それぞれ、これまでの活動の継続を基本としつつ、発展させるというスタンスで進めてきました。

 

バイオインフォマティクスという学問の発展としては、年会を中心として幅広い分野の研究者に参加していただけるようなテーマ設定をしていただきました。2021年の年会は前年に引き続きオンライン開催で1000名を超える方が参加されました。また、2022年はコロナの状況が見えない中でしたが、オンサイトでの開催に舵を切り、テーマも環境から健康までとすべてのバイオの分野をカバーするもので、500名を超える参加者がありました。直接顔を合わせて議論できることの良さを改めて感じられた方も多かったのではないでしょうか。大会長を務められた浜田先生、水口先生を始め、関係者の皆様に感謝申し上げます。2023年度は柏の葉で9月7日〜9日に開催されます(大会長:鈴木穣先生、実行委員長:山下理宇先生)。詳細は現在最終調整中ですが、ぜひご予定下さい。

 

また、2024年の国際会議開催に向けた準備も進んでいます。APBioNET、ISCB、APBC、AASBi/GIW、BioClues、GOBLETと共同でAsia & Pacific Bioinformatics Joint Congressを2024年10月22日(火)〜25日(金)に沖縄県那覇市で開催する予定です。現在、ローカルオーガナイザを中心に APBioNETなど国際委員会のメンバーとも相談しつつ内容を詰めているところです。台風の時期も過ぎ、いい季節ですので、今から日程を確保していただければ幸いです。

 

若手支援と研究活性化についてはOxford Journals - JSBi Prizeと研究会支援を継続して行っております。Oxford Journals – JSBi Prizeの募集は年度明けに行いますので、奮ってご応募下さい。若手支援で計画していた、後藤修先生の基金の規程がまだできておりません。これについては、年会優秀発表賞や旅費支援などの形で整える予定で検討しております。もう少しお待ちいただければ幸いです。

 

アウトリーチについてもバイオインフォマティクス技術者認定試験の受験者、JSBi Bioinformatics Reviewのアクセス数など着実に伸びており、バイオインフォマティクスの裾野の広がりを感じています。JSBi Bioinformatics Reviewでは有志による輪読に使っているなどの報告もいただいています。Wikipediaの記載内容ブラッシュアップなどはできませんでしたので、次期執行部へ引き継ぎたいと思います。

 

この2年間は前会長の岩崎先生を中心とした学会の改革が軌道に乗り、安定した運営ができました。会員数も着実に増え1000人を超える勢いです。学会運営を支えてくれてきた理事・幹事の先生方、総務担当の岩崎先生と牛山さんには大変お世話になりました。ありがとうございました。

 

一方で、新しい方向性を打ち出すなど積み残した課題も多くあります。これらについては力不足をお詫びするとともに、2023年度からの会長である山西先生に託したいと思います。よろしくお願いいたします。

 

最後になりましたが、学会員の皆様に改めて感謝申し上げますとともに、引き続き学会活動へのご支援・ご協力をいただければ幸いです。

 

2021年度-2022年度 日本バイオインフォマティクス学会会長

五斗 進

 

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