バイオインフォマティクス技術者認定試験 受験体験記
平成22年度

バイオインフォマティクス技術者認定試験合格体験記

安達 竜太郎 (平成22年度 首席合格者)

製薬会社の研究所に勤務しております。仕事では主に生物学や生化学に関わることが多いですが、必要に応じて配列データベースの検索や発現解析なども行います。最近、様々な公共あるいは市販のデータベースが充実してきている中で、インフォマティクスを活用して効率的に有用な情報を抽出できないかと考えておりました。そんな折この試験のことを知って、これまでの自分の知識を試験勉強の中で整理し直すことは、応用のためにも有意義だろうと考えて受験しました。  試験対策としては、出題範囲の主要キーワードがまとめられていますので、漏れがないように幅広く知識を整理しました。生命科学分野は、私の仕事と直接関係する内容なので、特に対策の必要はありませんでした。情報科学分野は、学生時代のプログラミングの経験などが役立ちました。バイオインフォマティクス分野については、これまで体系的に学習する機会がありませんでしたので、過去の試験問題を中心に勉強しました。配列解析が全ての基礎になっていることを意識しながら、断片的な知識を相互に関連付けて調べていくと理解が進みました。バイオインフォマティクス推進センターのホームページでは、本試験を意識した講義資料を入手することができましたので、参考にさせていただきました。  今回、試験勉強の過程で、自分の知識が体系的に整理されたことは、非常に有意義でした。データベース検索の基本的な仕組みなども出題範囲として含まれますので、NCBIの検索などでも、背景を理解しながら解析を進めることができるようになると思います。また、出題範囲のキーワードをもとにして、さらに勉強を深めていくことができますので、バイオインフォマティクスをこれから志す方にとっても、よいきっかけになると思います。

 

佐々木 剛 (平成22年度 主席合格者)

私はポスドクとして分子進化の分野で研究を続けてきたのちに、現職(バイオベンチャーの研究員)に就いてからは抗体配列解析やデータベースの作成等、いわゆるdry の研究開発を主に担当しております。それまでの知識は自分の研究を進める上で必要な分野のみに偏っていたと感じていたところで、 バイオインフォマティクス技術者認定試験のことを知り、 創薬にバイオインフォマティクスを活かして仕事をしていく上で、 自分の弱点の把握と情報収集をかねて、受験を思い立ちました。 製薬業界に入ってから半年過ぎたところでしたが、 バイオインフォマティクス担当者が私一人だけという職場で、 客観的にバイオインフォマティクスに関しての 評価をしていただこうという考えもありました。 思い立ってから受験日までに十分な時間が取れず、 JSBiのウェブサイトにあった過去問題を一通り解いてみたところで 受験日がやってきました。 受験することで学習に対するモチベーションが向上することが最も大きな効果ではないかと思いますので、 受験対策をする時間があまりとれなかったのは残念でしたが、 集中して過去問に当たるだけでも当初の目的の多くが達成されたと思っております。 初めて見る用語について調べることで新しい知識を得ることもできました。 これから受験をお考えの皆さんはそれぞれに目的も背景も 異なるかと思いますが、ぜひこの機会を有効に活用して頂ければと思います。

平成21年度

バイオインフォマティクス技術者認定試験受験体験記

東京大学・廣瀬 農 (平成21年度 首席合格者)

1)個人的背景と受験の動機
私は現在植物生理の研究に関わっており、以前は微生物生態の研究をしておりました。自分自身の研究はいわゆるウェット系ですが、研究・実験の方向性を検討するため、バイオインフォマティクスを活用した論文を理解する能力を必要としています。また、バイオインフォマティクスと関連が深い、統計処理・データベース検索・スクリプト言語によるデータ抽出等の作業も日常的に行なっております。したがって、バイオインフォマティクスを専門としているわけではありませんが、比較的関わりが深い分野で活動していると言えます。
このような背景からバイオインフォマティクスには以前から関心があり、東京大学で開講されているアグリバイオインフォマティクス人材養成プログラム課程を修了しており、その際に得た知識が身についているかを確認したいと考えたことが今回受験した主な動機です。また、特任研究員という立場から能力の第三者証明が必要という副次的動機もあり、受験を思い立ちました。

2)受験対策
私の場合、生命科学分野は本来の専門分野であり、過去問題を解いた感触では特に対策は必要無いと思われました。情報科学分野は情報処理技術者試験で得た知識が役立ちました。情報処理技術者試験未受験の方であれば、いわゆる午前試験対策の問題集などが参考になると思います。
後半のバイオインフォマティクス分野については、過去問題と前述のABI人材養成プログラムの際のノートを中心に知識の確認・拡充を行いました。知識が不確かな用語・概念については、WWWが勉強の助けになりました。また、オープンなデータベースで実際に検索を実行したり、データをダウンロードして自分で処理してみることも理解を深めるために有用でした。

3)受験を終えて
解答の公表と結果通知が比較的早く、知識の確認に役立ちました。また、結果として正解だった問題でも選択肢の一部に初見の用語があるなど、学習を進める手がかりとしても有用でした。私と同様にバイオインフォマティクス隣接分野で活動中で本試験に興味を持たれた方には、ぜひ受験をお勧めしたいと思います。

平成20年度

バイオインフォマティクス技術者認定試験を受験して

東京工業大学・並木 洋平 (平成20年度 首席合格者)

私は大学で情報工学を専攻しており,現在は修士課程1年に在籍しています.学部4年生の時に研究室に所属してからは主にバイオインフォマティクスを研究テーマとして扱っています.
私がバイオインフォマティクスについて本格的な勉強を始めたのは昨年の研究室所属以降で,割と最近でした.それまでは主にコンピュータサイエンスの勉強をしていましたが,一方で生物やバイオインフォマティクスについての勉強はほぼ全くしていませんでした.そこで,この分野の研究に必要な知識を定着させるべく,JSBiのバイオインフォマティクス技術者認定試験を受験しました.
試験勉強は主に認定試験の過去問を使って行いました.試験で出題される問題は主に三種類あり,生物学,コンピュータサイエンス,バイオインフォマティクスに関する問題が出題されます.私は普段からコンピュータサイエンスの勉強をしていたため,コンピュータサイエンスの分野の問題は比較的容易に解くことができました.その一方で,生物学やバイオインフォマティクスの分野の問題については知識が浅く,認定試験の過去問を見ても解答が分からない問題が多かったため,参考書を使って過去問に出てきた内容をひたすら調べて勉強しました.知らないキーワードも多く勉強はなかなか大変でしたが,その分実りある試験勉強になったと考えています.
この試験を通じてバイオインフォマティクスとそれに関連する分野の基礎知識が身に付き,これからバイオインフォマティクスの研究をしていく上で自信を持てるようになったと思っています.バイオインフォマティクスの勉強を始めたばかりの方は基礎知識を定着させる勉強の一環として,自信のある方は力試しとして受験してみるとよいのではないでしょうか.

平成19年度

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東京農工大学・小柳 亮 (平成19年度 首席合格者)

私がバイオインフォマティクス技術者認定試験を受験したきっかけは、当時DNAマイクロアレイ法を用いたトランスクリプトーム解析を始めたところで、大規模解析から得られるデータから有用な情報を抽出して、自分の持っているデータが何を示しているのかを知るためには、それまで知らなかったバイオインフォマティクスの手法を学ぶ必要があると感じたことでした。大規模発現データの解析用にはアプリケーションソフトウェアが市販されており、私もそれらを用いてデータを解析していました。しかし、そこで用いられている情報処理の手法を適切に選択するためにはやはりそれぞれの手法についての正確な理解が不可欠であり、それは私のように生物系の出身で、「コンピュータは好きだけど、情報処理については学生実習でBASICを少し習っただけ」というレベルの人間が説明書を見ながらなんとなくソフトを使っているだけではなかなか身に付かないものでした。
バイオインフォマティクスと一口で言ってもそこには様々な内容が含まれており、当然認定試験の出題範囲も広範なものです。マイクロアレイをはじめとするトランスクリプトーム解析はその一部分にすぎませんが、アレイメーカーが提供する遺伝子アノテーションの基礎となっている各種データベースはそれ自体がバイオインフォマティクスの範疇にあり、それらのデータベースに収録されている内容はそれぞれがまたバイオインフォマティクス的な解析により得たものであるなど、他の分野においても内容や解析手法に関連する要素を持つものは多く、それらを合わせて学ぶことで理解が深まったと感じています。目前にある課題をすぐに解決するための知識を学ぶだけの独学では(私の場合それが学会発表の直前といった余裕のない時期に行われることが多いのが原因なのですが)、このように直接の関連がない分野や、情報科学の基礎理論といった内容まではなかなか手が回らないので、とてもよい機会になりました。