バイオインフォマティクスは、遺伝子情報の分析や活用により、実際に生命のシステムを、少なくともその一部を、コンピュータの中に再現することを可能にしようとしています。そして、生命の情報構築原理をコンピュータの中に実現していくことにより、たとえば、環境汚染物質を分解する生物種のデザイン、生態系の反応経路にマッチした工業製品化、ネットワーク予測に基づく病因遺伝子の探索、ダイナミックな応答予測に基づく治療薬の開発、といった応用研究の可能性が開かれていくものと思われます。こうしたことから欧米では、バイオインフォマティクスが、職業としてまた研究分野として高く位置付けられようとしています。また、国際的な組織としては、International Society for Computational Biology が設立され、研究、教育、産業にわたって各国からの考えが求められています。
日本バイオインフォマティクス学会では、毎年、年会を1回、システム生物学や創薬インフォマティクスなどの専門分野の研究会をそれぞれ数回ずつ開催するのに加えて、北海道、東北、関西、中国・四国、九州、沖縄の地域部会を立ち上げ、地方におけるバイオインフォマティクスの振興にも積極的に取り組んできました。さらに、海外の関連学会との連携促進も積極的に行っており、ISCB(International Society for Computational Biology、国際情報生物学会、本部アメリカ)の地域アフィリエイトグループとして、またAASBi (Asian Societies of Bioinformatics、バイオインフォマティクスアジア学会連合)というアジアの関連学会の連合体のメンバーとして活動してきました。
1999年12月13日に恵比寿ガーデンプレイスで開催された日本バイオインフォマティクス学会設立総会の動画(初代会長 金久實 挨拶 および International Society for Computational Biology 会長 Lawrence E. Hunter ビデオメッセージ)を、金久實先生のご好意により以下に公開いたします。