キャリアパスセッション

オーガナイザー: 阿久津 達也(京都大学)、松田 秀雄(大阪大学)

このセッションでは、ベンチャー、IT系、製薬系など多様な企業において第一線で活躍さ れている講師の方々に、企業におけるバイオインフォマティクス関連研究者・技術者のキ ャリアの実例や可能性を紹介していただきます。特に、どのような人材を望んでいるか、 どのようなキャリアパスが考えられるか、どのような研究開発項目があるか、など大学院 生や若手研究者が将来のキャリアを考える上で参考になる事柄を中心にご講演いただきま す。大学院生や若手研究者の方々はもとより、学生の進路に関してより多くの情報を得た いと考えている教員の方々まで、数多くの皆様のご参加をお待ちしています。近年、企業 におけるバイオインフォマティクスへの期待も高まってきており、また、新たにご講演い ただく企業も何社もあり内容も充実したものとなっておりますので、以前に参加された方 のお越しもお待ちしています。

セッション1 13:35-15:05

製薬企業の研究所がバイオインフォマティシャンに期待すること
六嶋 正知(塩野義製薬株式会社)
近年の創薬研究では、次世代シーケンサーの進歩や医療ビッグデータの進展、公共データ ベースの充実化を背景に、膨大な生物学的情報を入手し解釈するバイオインフォマティク スの重要性が益々高まってきています。本講演では、シオノギ製薬の研究現場でのバイオ インフォマティクスの活用シーンや、創薬研究において求められるバイオインフォマティ シャンの人材像について、現場マネージャーの立場から紹介いたします。
協和発酵キリンにおけるバイオインフォマティクス研究者への期待
吉田 哲郎(協和発酵キリン株式会社)
次世代シーケンサーに代表される各種技術の進歩により、創薬研究に用いることのできる データは爆発的に増えています。それに伴い、バイオインフォマティクス研究者の活躍の 舞台は広がり、求められるスキルも幅広くなって来ています。本講演では協和発酵キリン におけるバイオインフォマティクス研究者の業務の現状と将来展望について紹介します。 また、製薬企業において今後考えられるバイオインフォマティクス研究者のキャリアパス についても紹介し、今後何が重要となるかについて私見を述べます。
研究者が活躍するビジネス現場の紹介
山口 昌雄(アメリエフ株式会社)
2014年度の研究開発費の総額は、前年度比4.6%増であり、うち企業が7.0%増加し研究開 発費全体の71.6%を占めている。一方で、大学や公的機関等の研究費は減少している(経 済産業省発表)。このような背景において、企業で活躍する研究者について紹介する。
ICT企業MKIのバイオインフォマティクス
深町 幸宏(三井情報株式会社)
ICT企業であるMKIのバイオインフォマティクス部門のこれまでの取り組みや業務経験の蓄 積から創出した当社ソリューション、ICT企業としてのバイオインフォマティシャン像に ついて紹介致します。
"受託解析屋"からみたバイオインフォマティシャンへの期待
岡田 宰(北海道システム・サイエンス株式会社)
受託解析業務においては、様々な目的の研究者の多種多様にわたる生物のデータを扱いま す。数千余の顧客の研究全てに深入りは出来ませんが、広い知識・興味と高い専門性の両 立が求められます。ヒューマンスキルも必要です。弊社の現状と、インフォマティシャン の皆様への期待をお伝えします。

[セッション2] 15:25-16:35

創薬の成功確率向上のためのトランスレーショナルリサーチの利用
小川 武利(第一三共株式会社)
価値ある医薬品を開発するためには、病態メカニズムの理解を深め、right targetに対す る薬剤を創出し、right patientに届けることが必要である。トランスレーショナルリサ ーチの推進はその為の有効な手段であり、特にシステムズバイオロジー/システムズファ ーマコロジーを活用したアプローチは創薬の成功確率を向上させる為に特に重要と考える。 本演題では、医薬品開発におけるトランスレーショナルリサーチの利用について弊社での 試みをお話させていただきたいと思います。創薬にご興味を持つ皆様の参考になりました ら幸いです。
とある物理屋のデータ科学
門脇 正史(エーザイ株式会社)
弊社では従来のバイオインフォマティクスやケモインフォマティクス、計算化学などの専 門性の垣根を取り払い、データサイエンティストとして働く体制へと移行を進めています。 演者が現在所属する組織の設立の目的や、これまでの創薬の研究開発やそれ以外の領域で の業務経験を紹介します。
野菜、花の新品種開発におけるバイオインフォマティクスの役割
遠藤 誠(タキイ種苗株式会社)
バイオインフォマティクスは、作物の品種改良において育種年限の短縮や革新的な品種の 創出につながっており、ゲノム解読技術が加速する現状から、今後もその重要性はますま す高まることが予測されます。本発表では、野菜・花の品種改良を行っている当社のバイ オインフォマティクスの活用例を紹介します。またゲノムデータのみならず、統計予測モ デルや深層学習などを利用した将来に向けた植物育種技術の高度化の試みとともに品種改 良の現場で活躍できるバイオインフォマティクス研究者像をお話しします。
バイオインフォマティクスにおけるAI技術の活用とバイオインフォマティシャンへの期待
鈴木 脩司(Preferred Networks, inc.)
現在、deep learningをはじめとしたAI技術は様々な分野へと応用されています。そして、 重要な応用先の一つとしてバイオインフォマティクスがあります。本講演ではこれらの技 術のバイオインフォマティクスの応用例を紹介しつつ、求められるバイオインフォマティ シャン像について紹介いたします。