日本蛋白質構造データバンク(PDBj)ランチョンセミナー

日本蛋白質構造データバンク(PDBj)

1. PDBjとwwPDBの活動方針について
栗栖源嗣(大阪大学蛋白質研究所)

PDBj (Protein Data Bank Japan, https://pdbj.org/)は,worldwide PDB(wwPDB, https://www.wwpdb.org/)のメンバーとして国際的な共同作業により,蛋白質等の生体高分子の構造を登録し,PDB(Protein Data Bank)データとして座標と実験データを全世界へ無償で公開しています.今回のセミナーでは,PDBjの新しい体制の紹介と,wwPDBで行ってきた厳しい品質管理についてお話します.関連してPDBjとPDBj-BMRBで進めている構造データに対する検証レポートの充実についても,X線結晶解析,NMR構造解析,電子顕微鏡構造解析の方法論ごとに今後の計画を紹介します.さらに2016年wwPDB諮問委員会でPDB IDのバージョン化が決定されました.2017年10月に導入予定の新しいPDBIDの詳細を含めて,今後,PDBがどのように変わっていくのかなど最近の活動内容を紹介します.

 

 

2.PDBjを利用したデータベース構築の事例紹介
城田松之(東北大学大学院医学系研究科),木下賢吾(東北大学大学院情報科学研究科)

我々はこれまで、PDBに蓄積されてきたデータを活用した様々な2次データベースの構築を行ってきた。例えばeF-siteは、タンパク質の座標情報を利用し、分子表面を計算し提供するデータベースであり、PiSiteはタンパク質間相互作用面に関するデータベースである。これらは、eF-siteでは分子表面を計算する際に、サブユニット毎に分割して表面を計算し、PiSiteでは生物学的な相互作用面の抽出を行う。これら概念的には単純なことも、当初はPDBの古いフォーマットのためにトラブルも多かったが、最近は、PDB-MLやmmCIFなどの新規フォーマットの策定により2次データベースの構築の効率も段違いに上がってきている。しかし、PDBが本質的に解析者のデータレポジトリであるが故に、利用者から見ると2次データベースを構築する際には未だ扱いが難しい面もある。本公演では、これまで我々が開発をしてきた2次データベースの紹介を行いつつ、PDBの利用者目線での今後の課題を議論したい。