質量分析とケモインフォマティクスの実りある連携

オーガナイザー：　質量分析インフォマティクス研究会（JSBi公募研究会）

座長：山本博之 ・ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社，吉沢明康・京都大学大学院薬学研究科 　各種オミックスの中でも、プロテオミクスやメタボロミクスでは質量分析データの解析が欠かせない。最近、ProteomeXchangeやMetabolomeXchangeといった質量分析データを登録可能なリポジトリが整備されつつあり、バイオインフォマティクス研究者にとっては再解析可能なデータが手に入りやすい状況になってきた。そこで本セッションでは、ゲノム解析など質量分析データに馴染みがないバイオインフォマティクス研究者のために、質量分析インフォマティクスにおける未解決問題と、解析ソフトウェアの紹介を通じて、プロテオミクスやメタボロミクスで得られた質量分析データ解析の現状と、今後解決すべき課題について紹介する。 　さらにメタボロミクスでは、疾患関連バイオマーカー探索において、代謝物名が不明な未知ピークがバイオマーカー候補となることがある。化学構造が不明な未知ピークを、ケモインフォマティクスを用いて推定するための方法が最近様々提案されており、メタボロミクス分野においてケモインフォマティクスの重要性が増している。そこで、これまで代謝パスウェイの解析と予測や、構造活性相関のために用いられてきたケモインフォマティクスを、メタボロミクスに導入することを目的として、ケモインフォマティクス研究の最新動向と、その代謝物の構造推定への応用について紹介する。本セッションでの発表を通じて、質量分析インフォマティクスとケモインフォマティクスの実りある連携がなされることを期待している。

質量分析インフォマティクスにおける未解決問題
有田正規（遺伝学研究所）
質量分析を取り巻くソフトウェアの現状
田中聡（Trans-IT）
ケモインフォマティクスによる代謝パスウェイ解析と創薬
山西芳裕（九州大学生体防御医学研究所）
メタボロミクスにおけるケモインフォマティクス - 代謝物構造推定への応用 -
山本博之 (ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社)