Copyright© 第6回生命医薬情報学連合大会(IIBMP2017)実行委員会 All Rights Reserved.
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体細胞変異の獲得および変異を獲得したクローンへの自然選択が段階的に起こることにより、がんは単一の正常な細胞から生じると考えられている。近年、次世代シークエンサーを用いたゲノム解析により、一つの腫瘍のなかにも、がんの進化の過程で生み出された、多数の異なる変異を蓄積するサブクローンが存在することが明らかになっている。この腫瘍内付近性と呼ばれる現象はがんの治療抵抗性の根本的な原因である可能性がある。すなわち、腫瘍内不均一性があると、治療感受性のクローンが大多数をしめる腫瘍が治療により縮小しても、治療抵抗性の少数のクローンが残存する可能性があり、やがて、そのようなクローンが増殖して再発にいたることが考えられる。したがって、腫瘍内不均一性を生じるがんの進化の原理的な理解は臨床的にも重要な問題であるが、その理解のためには、これまでがん研究の主流であった実験科学的アプローチに加えて、大規模ゲノムデータから知識抽出を行う情報・統計解析並びに、データの背後に潜む進化原理を探るための数理モデリング等、様々な角度からの学際的アプローチが必須であると考えられる。本セッションでは、ゲノム解析、シミュレーション、統計学、集団遺伝学を武器にがんの進化の理解を試みている4人の研究者から最新の研究事例を紹介してもらう。本セッションがさらなる異分野融合研究の呼び水となれば幸いである。