ニュートリゲノミクス

オーガナイザー: 西平 順 (北海道情報大学 医療情報学部)

健康状態は、遺伝子的な構造(遺伝子型)と食生活や運動など生活環境の相互作用によって決まる。特に、遺伝的背景(体質)と食生活(栄養)を対象にした研究領域はニュートリゲノミクスと称され、近年大いに注目されている。遺伝的背景については、約20年以上に及ぶヒトゲノム塩基配列決定と遺伝子変異に関するデータの集積から、ヒトの生理的プロセスや疾病リスクに関連した遺伝的変異(SNPs、エピゲノムなど)が多く見いだされている。これらの変異が栄養の吸収、代謝、食の機能性の効果にも影響し、その結果老化や疾病の発症とも関連することが報告されている。一方、ヒトを対象にした食の臨床試験が多く実施され、食の機能性と関連して腸内細菌叢の解析が盛んに実施されている。特に、腸内細菌叢の腸内・脳内代謝物への影響について解析が行われ、認知症やストレスなど脳機能に関する研究が話題となっている。本シンポジウムでは、ニュートリゲノミクスに焦点をあて、腸内細菌叢のデータ解析と疾患との関連性、食の機能性と遺伝的背景の相関、食の臨床試験データの新たな解析方法について、それぞれ専門的立場から発表いただく。


新時代を迎えた腸内常在菌研究
〜腸内常在菌データベースによる健康管理法の確立〜
辨野義己 (国立研究開発法人 理化学研究所 辨野特別研究室)
臨床試験データのモデル化に基づく食の機能性評価
甫喜本 司 (北海道情報大学 情報メディア学部)
遺伝子データ解析を組み入れた食のヒト臨床試験の評価と探索
西平 順 (北海道情報大学 医療情報学部)