竹本和広会員らの研究報告がプレプリントサーバmedRxivで公開されました

注意)これは査読を経ていない研究報告です。確立された情報ではなく今後の対策の指針になるものであると本学会が判断したものではないことに注意してください。

2019年新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行に伴い、その感染拡大を抑えることが重要な課題となっています。この課題に対して、高温多湿な環境がCOVID-19の感染を減少させ、夏や雨季の到来によって感染拡大の速度が低下すると予測する研究結果が報告されつつあります。一方で、南半球での感染拡大などを考えるとこの予測には疑問が残り、別の因子も感染拡大に影響している可能性を検討する必要があります。そこで本研究では、COVID-19感染者の全球データセットと全球気候データベースを用いて、COVID-19感染者の増加率に気候パラメータがどのように寄与しているかを空間解析を用いて統計的にコントロールしながら総合的に調査しました。その結果、まず、COVID-19感染者の増加率に対する気候の効果は限定的であり夏の到来によって感染拡大が弱まることを期待しない方がよいこと、すなわち、感染拡大を食い止めるためには渡航制限のような介入や行動変容が重要であることが示唆されました。その上で、先行研究と同様に、COVID-19感染者の増加率は気温とともに低下することが確認されました。しかしながら、その増加率は気温よりもむしろ降水量の季節変動性や温暖化速度と関連することが明らかになり、これらの効果は、その地域における人口密度、人間生活の質(ひとり当たりのGDP、平均余命、教育水準)、渡航制限の影響を補正したとしても確認されました。詳しいメカニズムは良くわかっていませんが、このような気候の季節変動性や気候変動といった長期的な環境変化が感染症の広がり方と関連することは他の感染症でも報告があり、今後のさらなる研究が必要となります。本研究成果に関連するデータとコードはGitHub( https://github.com/kztakemoto/covid19climate )で利用可能です。

研究成果のプレプリント
Chiyomaru K & Takemoto K (2020) Global COVID-19 transmission rate is influenced by precipitation seasonality and the speed of climate temperature warming. medRxiv 2020.04.10.20060459.
DOI: 10.1101/2020.04.10.20060459
URL: https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.10.20060459v1

公開日:2020.04.17