大会企画

※ 講演プログラムや要旨などの情報は、今後も随時更新していく予定です。

8月28日(金)9:30〜11:00 第1〜3会場

CBI・JSBi 合同シンポジウム『生命を原理から理解する ─ AIにできること・できないこと』

座長 / Chairs
  • 鎌田 真由美(北里大学)
  • 荻島 創一(東北大学)

要旨 / Abstract

近年のAIは、膨大な配列・構造・オミクスデータから経験的な規則性を学習し、その原理を明示することなく、高精度な予測を可能にしています。しかし、その発展によって、生命科学において「生命を理解する」とは何を意味するのか、という根源的な問いが改めて浮かび上がってきました。AIが獲得した内部表現は、本当に「生命の原理」を捉えているのでしょうか。

一方、生命現象をその根底にある基本原理から一つひとつ組み立て、多様で複雑な現象がいかに生じるのかを演繹的に説明しようとするアプローチがあります。大量のデータに内在する規則性を学習するAIとは異なり、少数の原理やパラメータを出発点として、生命の成り立ちそのものを理解しようとする立場です。そこでは、観察された現象を予測・再現できることにとどまらず、その現象が「なぜ、どのように生じるのか」を説明できることが、生命を理解することだと捉えられます。

本セッションでは、こうした二つの異なる理解の様式を並置することで、AIは生命の原理に到達できるのか、また、予測・再現・説明のどこに生命科学における「理解」を見いだすべきなのかを、講演者の先生方とともに議論する場としたいと考えております。

講演プログラム / Presentation Program

  • 趣旨説明

    オーガナイザー

  • 講演①:「『生命の相図』からひもとく生物進化」

    美宅 成樹 先生(名古屋大学名誉教授)

    生物の原理を少しでも明らかにしたいと考え、私は研究を続けてきました。一般に科学の原理は非常に少ないパラメータで現象を正確に記述するものです。膜タンパク質予測SOSUIの開発は、そうした研究の最初の成果だったと考えています。最近提出した『生命の相図』も少ないパラメータで生物種を特徴づける概念です。これまでAIによる研究について考えたことはなかったのですが、今回のセッションに当たって、私の研究は「AIでは難しいかもしれない」と考え、お話しすることを引き受けました。つまり、「原理を明らかにすることは、少ないパラメータで現象を正確に記述できるようにすることで、それには現象の背景になるパラメータを厳選し、さらにそれらの関係を説明可能にするものです。」講演では、まず私が行った研究を紹介し、それとAIによる研究と比較し、それぞれの得意・不得意を簡単に議論してみたいと考えています。

  • 講演②:「生成AIのスケール則はゲノム言語モデルを記号処理から飛躍させることはできるのか?」

    榊原 康文 先生(大会長・北里大学)

    近年、大規模言語モデルは、スケール則に従ってデータ・モデル・計算資源を拡大することで、単なる記号処理を超え、質問者の意図を汲み取る対話や高度なプログラミング支援など、人間の能力の一部を上回る知的能力を示し始めている。本講演では、このような生成AIの飛躍を手掛かりに、DNA配列を学習対象とするゲノム言語モデルにおいても同様の質的変化が起こり得るのかを考察する。まず、三十数年以上にわたってACGTの4文字の並びに向き合ってきた記号処理としてのバイオインフォマティクス研究を概観し、RNA二次構造予測、深層学習による配列モチーフ解析、ゲノム比較、メタゲノムアセンブリ、OrthologTransformerによる異種発現遺伝子設計へ至る流れを紹介する。その上で、Evo 2やAlphaGenomeなどの代表例と感染性ファージゲノム合成の実証実験を参照し、ゲノムAIが「配列を読む」段階から、機能文脈を予測し、設計候補を提示する段階へ進みつつあることを見ていく。こうした研究を踏まえ、スケールによる能力の飛躍をどのように見いだし、潜在表現から生命の原理候補を取り出すべきかを考えたい。

  • 総合討論・フロアとの質疑


8月28日(金)13:15〜14:45 第1〜3会場

大会企画『SPReAD採択者に聞く ― AI for Science時代の研究と審査』

オーガナイザー / Organizers
  • 大上 雅史(Science Tokyo)
  • 大田 達郎(千葉大学)
  • 尾崎 遼(理研)
  • 鎌田 真由美(北里大学)

趣旨 / Abstract

文部科学省のAI for Science萌芽的挑戦研究創出事業「SPReAD」は、AIを活用した研究提案を対象とし、審査にAIインタビューや無作為抽出を導入するなど、従来の競争的研究費とは異なる新たな試みを取り入れている。

本企画では、まずJST 研究開発戦略センター(CRDS)の調査をもとに、AI for Scienceをめぐる国内外の政策・研究開発動向や、ロッタリーファンディング(抽選方式)を含む新たな研究ファンディング・審査手法について俯瞰する。続いて、文部科学省「AI for Science推進委員会」における検討も踏まえ、SPReAD創設の背景や制度設計に込められた考え方、新しい研究支援・審査手法への期待と課題を紹介する。

さらに、SPReADに実際に応募・採択された研究者から、応募、AIインタビュー、採択後の研究活動を通じて得られた経験や所感を共有する。これらの異なる視点を踏まえ、AI for Science時代に求められる研究支援のあり方、新しい研究テーマを発掘するためのファンディングの仕組み、さらには研究提案の審査プロセスそのものについて議論する。

プログラム / Program

  • 13:15〜13:20(5分)

    趣旨説明

    大上 雅史(Science Tokyo)

  • 13:20〜13:40(20分)

    「AI for Scienceをめぐる国内外動向と新たな研究ファンディング」

    阪口 幸駿(科学技術振興機構 (JST) 研究開発戦略センター (CRDS) フェロー)

  • 13:40〜14:00(20分)

    「SPReADの背景と制度設計 ― AI for Science推進の立場から」

    大上 雅史(東京科学大学/文部科学省 AI for Science推進委員会 委員)

  • 14:00〜14:40(40分)

    「パネルディスカッション」

    モデレーター:大田 達郎(千葉大学)

    登壇者:
    • 阪口 幸駿(科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェロー)
    • 大上 雅史(東京科学大学/文部科学省 AI for Science推進委員会 委員)
    • SPReAD採択者:
      • 広川 貴次(筑波大学)
      • 鄒 兆南(熊本大学)
      • 堤 隼馬(北里大学)
  • 14:40〜14:45(5分)

    クローズ

    大田 達郎(千葉大学)