第5回生命医薬情報学連合大会(IIBMP2016)

開催趣旨

開催趣旨

 生命医薬情報学連合大会(IIBMP)の2016年大会を2016年9月29日から10月1日まで、東京・お台場の東京国際交流館プラザ平成にて、日本バイオインフォマティクス学会、情報計算化学生物学会、日本オミックス医療学会の共催で開催します。
 IIBMPは2012年から、生命情報科学研究および生命科学・医学、薬学研究の発展のために、日本バイオインフォマティクス学会、情報計算化学生物学会、日本オミックス医療学会の共催で開催されるようになりました。2012年と2013年は東京の船堀で開催され、2014年には初めて東京を離れ仙台で、2015年には京都大学宇治キャンパスの京都大学化学研究所バイオインフォマティクスセンターを中心として「生命情報ビッグデータ時代のバイオインフォマティクスの挑戦~環境から医療まで」というテーマで開催されました。京都大会では、生命情報科学にとどまらず微生物生態学会との交流が行われました。参加者も情報科学、生命科学、医学、薬学等のさまざまな分野の研究者300名が参加し、口頭発表、ポスター発表、企業展示・セッション等を通じて活発な議論がなされてきました。個人情報保護法の改正に際したゲノム情報利用に関した提言などのとりまとめも行われ、アカデミアから産業界まで広い分野をカバーする年会に発展してきています。
 2016年は場所を東京に戻し、引き続き3学会共催の連合大会として開催することになりました。実行委員は、バイオインフォマティクス研究者が多く集まる産業技術総合研究所・臨海副都心センターの研究員及び、バイオインフォマティクス教育研究に積極的な東京工業大学・慶応大学の教員を中心としたメンバーで編成されています。教育から産業までカバーできる体制を整えました。
 現在、バイオインフォマティクスは一つの分岐点に立っておると感じます。バイオインフォマティクスは農業から医療まで幅広く利用されています。特に、この数年、次世代シーケンス技術に関連した解析ツールの作成がホットなトピックとなっていますが、基礎的な手法は一通り揃い、バイオインフォマティクス研究者の手を離れ、広く生命科学者や産業において利用されるようになってきました。手法の研究は、新たなるステージへ移動する必要が出てきています。
 その一つが、現在様々な分野で話題になる人工知能技術の開発と応用です。例えば、生命科学分野では過去の知見を蓄積したデータベースが重要な役割を担っていますが、現状、人海戦術で作られる高コスト体質となっています。また、研究速度が年々加速したことで、全ての情報をデータベース化することは不可能になっています。人工知能技術により、一部でも作成をサポートしたり自動構築したりする技術が導入できれば、今より有益なデータベースが安価に作成でき、生命科学全体を底上げできる可能性があります。このようなデータベースを創る人工知能は、今まで蓄積のあるバイオインフォマティクス分野だからこそ、他分野に先駆けて構築可能なのではないでしょうか?
 そのような背景から、本大会では「ユビキタスな人工知能時代を先導する生命情報科学を考える」というテーマを掲げ、生命情報科学が生命科学だけでなく、情報科学も先導する世界を作ることを目指しました。進化の不思議の解明から、予防医療の実現まで、幅広い応用を見据えたバイオインフォマティクス技術と、その応用に関する最先端の研究発表の場にするとともに、ゲノム情報を活用した研究における社会との関わりを皆様と一緒に考える機会としたいとおもっています。
 本大会が生命情報科学研究および生命科学・環境科学、医学、薬学、数理・情報・統計学研究の発展のための場としてますます発展していくように、関係者一同、尽力してまいりますので、この分野に関心をもつ多くの方々にぜひご参加ならびにご支援をお願いできれば幸いです。

キーワード:
人工知能、生命情報ビッグデータ、データ駆動科学、パーソナルゲノム、メタゲノム、環境ゲノム